【本】お金は寝かせて増やしなさい/水瀬ケンイチ(フォレスト出版)

投資・マネー

投資未経験者からインデックス投資実践者まで、誰もが必読の投資の道しるべ

投資ブログ「梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー」を運営するインデックス投資ブロガー、水瀬ケンイチさんの著書「お金は寝かせて増やしなさい」については、昨年末に販売されて以来、もう何度も繰り返し読み込みました。

それほどにこの本は、投資未経験者からインデックス投資実践者まで、投資経験に関係なく誰にも気付きを与えてくれる、大変有益な1冊だと感じます。

特に私が一読をオススメするのは、最近個人型確定拠出年金(通称「iDeCo」)を始められた方。

2017年の法改正により、その税制面の優遇が厚いことから一躍iDeCoが注目され、これまで投資に関心が無かった人の多くもiDeCoを始められたケースが少なくないと思いますが、「口座は開設したもののどう運用したらわからない」という人も多いはず。

そんな人にはインデックス投資のイロハから投資のリスク、心構えまで、この1冊だけで網羅的に学べますので、最初に手に取る投資の教科書としてもうってつけの1冊だと思います。

なんてったってiDeCoは、インデックスファンド(一部アクティブファンドもありますが)を中心とした投資信託を組み合わせて運用するため、iDeCo自体がまさにインデックス投資そのものですから。

 

(お金は寝かせて増やしなさい/水瀬ケンイチ)

本格的なインデックス投資を学ぶのであれば、インデックス投資の経典「ウォール街のランダム・ウォーカー〈原著第11版〉 ―株式投資の不滅の真理」を読むのでしょうが、本人に強い関心があるか、人に強く勧められない限りなかなかあの厚い本は手に取り難いモノ。

しかし本書は、インデックス投資の経験を踏まえ、ツボを押さえてまとめられているため、投資に迷いが生じたら気になる部分だけをサッと読んですぐに初心に立ち返ることのできるというメリットがあります。

また、日本独自の投資環境から発生する疑問などには当然のことながら「ウォール街のランダム・ウォーカー」に解となる言及はありませんが、水瀬さんのこれまでの経験から見解を示されているなど、長くインデックス投資を実践されてきた方ならではの英知(解決策やヒント)が詰まっています。

書く言う私も、繰り返し読む中で、2017年のトランプ相場にリスク感覚がすっかりマヒしていることを実感。過剰にリスクを取りたがっていることに気付かされ、年初に自分のリスクの許容度を再考するきっかけになり、アセットアロケーションも見直しました。

相場の上昇局面では危機意識と運用方針の再確認に、下落局面には退場しないで相場に踏み止まる心の支えになることでしょう。時々読み返しては、今の自分の立ち位置を確認するのにも大変有益だと思います。

 

(15年の経験を通じて語られるインデックス投資の魅力)

後半には、15年間の水瀬さんのインデックス投資としての実践の記録が掲載されていますが、中にはリーマン・ショックで資産が半減した経験などにも赤裸々に触れられて、投資をする人にとっては本当に貴重な記録であり、これ以上ない参考資料だと思います。

その経験から語られる教訓(底なしに感じる下落相場も必ず下げ止まること、相場の反転は想像以上に早いこと、退場しているとV字回復の波に乗る機会を逃すことなど)を通じて、我々に投資における不安などとの向き合い方も教えてくれます。

日本人は貯金とギャンブル(投機)は大好きなのに、投資に対してはいまだに疎いですが、あらゆる投資にも精通する基本的な姿勢やリスクとの向き合い方など、投資のイロハの多くはインデックス投資から学ぶことができます。

投資経験や相場環境に応じて都度気付きがあるので、専門的で分厚い投資の教科書を何冊も読むより、この1冊を繰り返し、繰り返し読むことの方がずっと有意義かもしれません。

 

最後になりましたが、昨今の日本におけるインデックス投資のための環境は急速な進展を見せていますが、水瀬さんが実践記の中でも触れているように、10年以上前にはろくなインデックス商品がなかった当時と比べれば、今は驚くべき変化と言えます。

これは、水瀬さんのようなインデックス投資投資家たちがインデックス投資のメリットをブログなどを通じて発信し続け、少しずつ草の根運動的に広まり、1つの大きな流れとなって業界を動かした結果であり、感謝しきりです。

それこそ一昔前までのインデックス投資のイメージは、市場に連動するだけの面白味のないファンドをホールドするだけの退屈な投資手法、と思われていた感もありますが、今や投資における地位を確立し、今後一段と広まるきっかけになる1冊ではないでしょうか。

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