【CD】Karl Hyde(カールハイド)/EDGELAND
東ロンドンからエセックス州に渡る「縁」ともいうべき地区。そのどこか取り残されたような荒涼とした風景や、そこに暮らす人々の静かな息遣いから垣間見える、「生きる」という本質が今回のアルバムのコンセプトとして血脈のように通っていることを感じる。タイトルの「Edge Land」とはまさに言い得て妙だ。
タウンから弾き出されたような郊外特有の静けさ、寂れた風景はもの悲しい気分を誘うが、同時に純粋な気持ちにもなれる。飾らず、とても丁寧に、繊細でありながら時に力強く歌われる曲も、その風景やそこで暮らす人々にインスパイアされてのことだろう。そのおかげか、聴くたびに自分自身と向き合っている気がするから不思議だ。
先日インストアライブにも足を運び、カールの生の声を聞くことができた。なぜ成功を収めたクラブミュージックではなく新たな音楽性を示すに至ったのか、言葉の断片ではなく心の声をストレートに歌いあげた心境の変化など、非常に興味深かった。カールにとって音楽はかけがえのない存在だからこそ、敢えて自ら苦悩し、スクラップ&ビルドしながら自分の可能性を追求し続ける姿に、1人の人間として学ぶことが多く、その人生観は尊敬べきものだった。
曲のミニマルな美しさがこれほど心に響くのは、昨年来身の回りの物事を取捨選択し、シンプルに、そして今を丁寧に生きることを目指す自分の理想とリンクすることもあるかもしれない。ある意味での潔さがそこにはある。淡々と丁寧に生きることに強く惹かれることと同じく、このアルバムに惹かれた。とてもいい時期に、素晴らしいアルバムに巡り合うことができたのではないか。そんな気がする。
以上、ノートの走り書きより。感想文・・・というより個人的な備忘録ですが。余談ですが2枚組のDVDの方にはエッジランドの1時間超の映像が収められておりこちらもすこぶる良く。そこに生きる人々が語る話に、素直な気持ちになれます。
さてカール・ハイド、フジロックにも参加が決まったようですね!個人的にもう一度ライブを見たい衝動に駆られています。今年ももう少しラインナップが固まってきたら真剣に検討しようと思います。
それではまた!
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TAGS: KarlHyde・Underworld | 2013年4月19日