【本】冒険投資家ジム・ロジャーズのストリート・スマート

「破綻なき資本主義は地獄なきキリスト教」

ジョージ・ソロスと共にクォンタム・ファンドを立ち上げ、たった10年で4200%のリターンを上げて37歳にして引退をした冒険投資家ジム・ロジャーズが、自らが世界中を実際に見て回った中で感じるこれからの世界と自らの半生について綴った一冊。各方面にdisってるのではないかと思い、面白そうなので読んでみましたが、案の定期待通りの内容でした。

20130629-19

  • 冒険投資家ジム・ロジャーズのストリート・スマート 市場の英知で時代を読み解く/ジム・ロジャーズ著(ソフトバンククリエイティブ)

幼少期の話に始まり、大学時代のこと、クォンタム・ファンドのこと、家族のことなど、その半生を語ったかと思いきや、思い出したように政府についての批判(特にFRBの新旧議長を痛烈に批判して止まらなかったり)を展開し、ジョージ・W・ブッシュ、BRICsの名付け親についても不憫になるほど散々な言われ様で、とにかくあっちこっちに噛み付き、読み手にとっては至極痛快w。その一方で、市況については、これからはアジアの時代としつつ、新興国については特に中国、シンガポール、ミャンマーの成長を挙げる一方、中国を除くBRICsについては悲観的で、多岐にわたって読み応えのある一冊となっています。

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中でもアメリカ経済についてはかなり悲観的で、輪転機を回しまくり世界最大の債権国から今や世界一の債務国へと陥れた近年のアメリカ政府要人たちへの批判、特にリーマンショック時に潰すべき企業を救い、代わりにアメリカという船を座礁させた重罪により、アメリカの回復が大きく後退したと嘆いています。しかし、これは著者も後述するようにシェール革命の波に乗れれば、アメリカの復活も早まるだろうとしているし、現に今はアメリカが一人気を吐いている状況ですので、冷静に読む必要があると思いますが、確かにアメリカはシェールガス・オイルに救われた(そしてこれからますます救われる)のだろうと思われます。

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百聞は一見に如かずということを体現された御仁はシンガポールに移り住み、家族を顧みずに働いた若き日を取り戻すように娘たちとの時間を謳歌しているとのこと。巻末の家族への思いはなかなか心に染みるものがあります。

個人的にはシェール革命(シェールガス・オイル)の影響が今後どれだけ世界に波及するのか、大変興味深く、さらに掘り下げて調べるきっかけにもなりましたし、また、中国は不動産バブル崩壊後に力強く復活すると記している点で国には必ず栄枯盛衰ある中で成長するものなのだと感じながら、さて今後の投資についてはどうするべきか、改めて検討してみようと思い始めています。

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