【CD】Smashing Pumpkins(スマッシングパンプキンズ)/OCEANIA LIVE IN NYC

音楽・カルチャー

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過去のスマパンを知る往年のファンの中でも、あの輝かしくも緊張感に満ちたメンバーが次々にバンドを去った後、ビリーが1人でスマパンとして続ける現在の状況に対しては賛否両論あるのではないだろうか。そして現在のメンバーが発表された当初、ビリーは過去をまだ引きずっている、と誰もが感じたはずだ。イハの代わりにジェフ・シュローダー、チェンバレンの代わりにマイク・バーン、そしてダーシーの代わりにニコール・フィオレンティーノ、そのすべてが代役に映ったし、書く言う僕だって未だ過去の栄光の影を追い続けるバンドだと感じたわけだから。

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しかし現実は違った。「OCEANIA(オセアニア)」を発表し、我々はその新たなスマパンの音に触れ、もう過去のトレースなどではなく、今度こそ生まれ変わりつつあるスマパンの片鱗を目の当たりにしたのだ。再出発当初は往年のファンとライブ中に揉めたこともあったようだが、その後メンバー達は実力でファンを納得させた。その証拠に、2013年のサマーソニックでは「MACHINA(マシーナ)」以前の曲を吹っ切れた様子で気持ち良さそうに弾くビリーがいた。

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(余談になるが、会場には次のアーティストを間近で見ようとポジション確保のために紛れ込む「ミ●チル地蔵」がいた。ライブ中にも関わらずステージに背を向けて棒立ちという場違いな態度に僕は怒りを覚えたが、ビリーさんは過去の名曲を立て続けにかき鳴らしてモッシュの渦を作り、地蔵達を蹴散らした。その時のビリーさんの悪戯っぽい笑顔と僕らファンにもたらした爽快感と言ったらなかった)。

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スマパン結成以来初となるこの公式ライブ盤は、そんな現メンバーの自信の表れであろう。聴けばその完成度の高さに過去との比較などまるで無意味なことだと感じさせられる。過去を受け入れ、そして新たに前進を始めたスマパンの姿がそこにはある。

過去との対比を恐れることなく、後ろを振り返らずに前へと進み始めることができたのも、恐らくビリーの現メンバーに対する厚い信頼があるからに違いない。「もちろん昔も良かったけど、今のスマパンは最高」、そう思える状況が訪れたことを本当に嬉しく思う。

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このニューヨークでのライブはその確かな軌跡であり、証明だ。ここまでだいぶ遠回りをしてきたけれど、今のスマパンは過去をも凌ぐ出来だ。このライブ音源を聴けば誰もが納得できると確信している。再び前進を始めたオルタナの雄、次の作品のリリースまで期待して待ちたい。

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