【本】君は、どう生きるのか 心の持ち方で人生は変えられる/古森重隆(三笠書房)
年頭にこそ読みたい「論より証拠」な成功者の本
順番は若干前後しますが、最近読んで面白かった本について、心に留めておく意味も兼ねて備忘録的に感想を記しておきたいと思います。
新年早々に読んで良かったと感じたのが、富士フイルムホールディングスの代表取締役会長兼CEO 古森重隆氏が書いた、2作目となる本書「君は、どう生きるのか 心の持ち方で人生は変えられる」(三笠書房)です。
1作目の「魂の経営」(東洋経済新報社)に比べて、日本の若者たちを鼓舞するような色合いがより濃く、いわゆる自己啓発本に類することになるかと思いますが、とても読みやすくまとめられています。
(「君は、どう生きるのか」/古森重隆著)
著者は言わずと知れた日本屈指のカリスマ経営者ですが、富士フイルムの栄枯盛衰(米・コダックに追いつき追い越せの時代から、デジタル化による本業消滅の危機、”第二の創業”に見る業態の大転換に至るまで)を通じて、著者の人生哲学・信念に触れられています。
ご存知の通り、富士フイルムはコダックとは違い、フィルム危機を乗り越えV字回復を遂げましたが、当時の自分には、富士フイルムもコダックと同じ道を歩むもの、と思い込んでいましたし、それほど身の回りがデジタル化に舵を切る勢いは一般人の僕にも鮮明に映りましたから、当事者にとってその危機感はただ事ではなかったはずです。
だからこそ、現在に至る富士フイルムのV字回復には驚きを持って受け止めていましたし、そのせいもあるでしょうが、そのデジタル化の波により本業消滅の危機に直面した真っ只中に社長に就任し、陣頭指揮を執って大胆な構造転換を果たした立役者の言葉には圧倒的な重みがありました。
本書では、特に新人から課長クラスの経験がその後の人生に大きな力となったことについて紙面を多く割き、語られていますが、経験を踏まえて語られる人生哲学のエッセンスは、新社会人から私のような30代半ばの人にとっては特に心に残り、その後の行動に多大な影響を与えてくれる気がしています。
(「論より証拠」な成功者のエッセンス)
私自身、元々感化されやすい性格ではありますが、最近の富士フイルムの快進撃(アスタリフトに代表されるビューティー&スキンケアやエボラ出血熱の「アビガン」を開発したグループ会社の富山化学工業の活躍など)を見れば、古森氏の語る簡潔かつダイレクトなメッセージの十分過ぎる裏付けとなり、どんなに理詰めの自己啓発本よりも強く心を突き動かされるはずです。
こうして読んでみると、成功者の経験を垣間見ることは「論より証拠」、どんなに魅力的な言葉を並べ立てるよりもずっと人を前向きにさせてくれるものだと実感させられました。
章立ても短く、短時間で読めてしまうため、読者の中には若干物足りなさを感じる人もいるかもしれませんが、要は本を読んで実際に行動に移すかどうかは自分次第であり、また行動を起こすには十分な動機づけになるはずです。
2015年のスタートにあたり読んでみましたが、高いモチベーションを持って年始をスタートさせることができました。何か行動を起こすきっかけには打ってつけの本であり、日頃本に親しんでいない人にもオススメできる一冊となっています。