とても素敵な接客を受けたって話
子どもが初めての風邪をひきました。そのためこの1週間はブログの更新もできず、仕事から帰宅後はずっと子どもの相手をしていました。これが父性というやつでしょうか、子どもが怠そうだと可哀想で無性に泣けてきます。
ようやく回復に向かっていますが、せっかくの3連休はまだどこへも行けそうにないので、最近ちょっと嬉しかった話でもつらつら書こうかと。
で、今回は最近体験した、とっても素敵な接客の話。
自分にとってパンツは、洋服の中で最も苦手なアイテムの1つ。
苦手な理由は色々あります。
例えば、「遺伝的に下半身が太い」「似合うパンツがなかなか無い」「値段ほどに評価されない」「必ず丈詰めが必要」「ジーンズが楽過ぎる」・・・とまぁ叩けば埃が舞うようにモウモウと立ち上がります。
それに、試着するまで自分に似合うかどうか判断できないのも苦手な大きな理由の1つ。そもそも試着が得意じゃないんです(おい、「試着が得意」ってなんだ?)。
パンツを試着する時、靴を脱ぎ、ズボンも脱いで商品に足を通し、それから店員さんに裾を内側に織り込んでもらって裾丈を調整、そしていざ姿見鏡で確認・・・の繰り返し。
試着のためにかかる脱ぎ着の面倒臭さも去ることながら、店員さんの手を煩わせるのがすごく申し訳なくて。
特に自分は優柔不断だから、試着しても即決できない。付き合ってくれる店員さんも粘り強く待ってはくれるけど、「他にも仕事があるだろうに付き合わせちゃってごめんね」ってなる(・・・なりません?)。
そのくせ、パンツはシャツやジャケットなんかよりずっとサイズ感を気にしなければいけないアイテムだからハズレのことの方が多い。
だから散々試着して「やっぱり似合いませんでした」って断るのも気が引けて、結局「今日はやめとこ」ってなる(・・・なりません?)。
ま、そんな大苦手なパンツ選びですが、先日、オーダー中のジャケットに合わせるパンツを探していると、とても親切な接客を受け、ちょっと感動しました。
店頭で声をかけられ、「実は製作中のジャケットに合わせるパンツを探している」と告げると、「どんな生地ですか?」と聞かれました。
そこでスマホに保存してある写真を見せると、わざわざ併設されたオーダーサロンからジャケットと同じマーチャントのバンチブックを持ってきてくれて、その中にはオーダー中のモノとまったく同じ生地があったんですよね。
「良い生地でオーダーされたんですね」とにっこりほほ笑んで、それならば・・・と端的に2パターンから提案してくれました。1つはジャケットと同系色のベージュ・ブラウン系、もう1つはアズーロマローネでネイビー系。
百聞は一見に如かずで、パンツに生地サンプルを宛がいながら、着こなし方と共に提案してくれて、さらに試着した際にフィッティングを確認し、リサイズについても提案をしてくれました。
実際にオーダーしたジャケットの生地を見ながら選べるとは思いもよらず、ましてや購入検討時からフィッティングをさらに良くするためのリサイズの提案まで受けるとは思っても見ませんでした。
一見似たり寄ったりに見えるパンツも、実際に足を通すと少しの色の違いや小さなディテールの違いで印象も大きく異なるので、結構な時間をかけて吟味しましたが、的確な提案やアドバイスを受けながら最終的に1本選ぶことができました。
そして何より、自分以上に一生懸命に向き合ってくれたのがすごく嬉しかった。
もちろん、リサイズのお直しを終えて届いたそのパンツは、これまでに体感したことのないくらいピッタリと下半身を包み、文句なしに似合う、自分にとってかけがえのない素晴らしい1本になりました。
縁あってモノを手にする時は、なるべくそのモノの持つバックグラウンドとか、作り手の思いなども理解することが大切ですが、それを受け渡してくれる人との出会いとかその時に感じた思いについても、同じくらい大切にしたい。
たとえそのモノが少々高価でも、「この人から買いたい」と思える接客って本当に素晴らしいと思いますし、そうして手にしたモノもまた、自分にとって価格以上に価値あるモノになるものなのだと、感慨に耽るのでした。
2015年10月9日