断捨離ともミニマリストとも違う、シンプルに生きるのためのシンプルな考え方
「断捨離」や最近流行りの「ミニマリスト」など、昨今”シンプルに生きる”ことが持て囃されています。
書く言う自分も、目指すところはシンプルな生活であり、「捨て魔」や「ミニマリスト」には憧れもありますが、常にどこか違和感を覚えてきました。
“違和感”と言っても、何もそういった生き方を実践している人たちを批判するわけでは決してなく、あくまでも自分の中の問題。
「あんなに割り切ってモノを減らせればどんなに気持ちがイイことか」と思う反面、多分自分には向いていないんだろうなぁと、どこか諦めにも似た大きな隔たりがありました。
だって、身の回りは常に整然とありたいと思う一方で、新しいモノやより良いモノが欲しいのも本音だし、買い物だって大好き、洋服や靴などの趣味だって我慢したくはないのも本心ですから。
そんな相反する思いが常に渦巻いていて、まるでシーソーゲームのように、買い物に走ったり、モノを処分したり、を毎回繰り返していたわけです。
自分が思うに、ミニマリストはもうある種の悟りの境地なんだと思います。吹っ切れないと辿り着けないような、どこか突き抜けた印象があり、よもや捨てることに喜びすら感じているのだろうと。(・・・偏見?)
モノを処分しても「あースッキリした!よし、新しいモノを買おう!」っていう風になって、毎回同じことの繰り返し。そんな進歩のない自分には悟りとは程遠く「・・・無理だよなぁ」と。
誰も捨てるためにモノを買ってなんていないでしょうが、もし頑張って捨てたとしても、リバウンドしてまた元に戻ってしまっては意味がないですから、捨てれば全てが解決するという簡単な問題ではない。
ただモノを減らすだけではなく、今後モノを買う基準やポリシーなど、目標や方針がないと今の生活から何も変われない、と思った時に読んで感銘を受けたのが今回の一冊。
(フランス人は10着しか服を持たない /ジェニファー・L・スコット著)
タイトルは・・・うん、まぁちょっと極端ですが、読むと「シーズン毎に10着」とのことですので念のため。
この本は著者のフランスでのホームステイの経験から、ホストファミリーの生き方を通じて、物質主義的だった人生感が180度転換した出来事を、衣・食・住の全般に渡って伝えています。
ブログから発展してまとめられたこの一冊、ターゲットは主に女性だと思いますが、個人的にはモノにこだわる男性にこそ、読めば共感を覚えるような内容が詰まっているように感じます。
中でも最も琴線に触れたのが「常に自分のベストな状態でいる」という意識を持つこと。
仕事や外出の時はきちんとした格好でも、休日の装いがダサかったり、「どうせ汚れるから」「人に会わないから」と着古したモノを身につけたりと、ついついやってしまいがちな外着と部屋着の使い分け。
でも、カテゴリー分けをすることで持ち物は無数に増えていきますし、着古したものはいつまでも捨てられない一方で、せっかく手にした高価で上質なモノはいつまでも使わず、その価値を活かせないまま、ただのオブジェとなってしまいがち。
この本には、人生という限りある時間の中で、ダサい自分でいる時間がいかにもったいないことであるか、を気付かせてくれます。そして常に「ベストな自分」でいるための意識付けと秘訣を、体験談を交え惜しみなく読者に提供してくれます。
「ベストな自分」でいるためには、常に自分に似合うモノを身につける必要があります。
本当に自分に似合う服や自分らしい服なんてそう簡単に見つかるものではありませんから、「これだ!」というモノに出会えたら、ずっと着続けるでしょうし、とても大切にするでしょう。
それに、常に自分に似合う服を着ることは、同時に自分に対して自信を持つことにもつながりますし、そして何より、自分が常にベストな状態でいるために、自分自身を良く理解することにもなります。
「ベストな自分」を意識するだけで、おのずと数合わせのための洋服選びや、バリエーションを増やすためだけの買い物が無くなり、身の回りが無理なくシンプルに洗練されていくことになります。
たくさんの洋服があっても、結局最後は気に入ったものしか着ない自分にとって、常に「ベストな自分」でいる意識を持つことについてのくだりで「これだ!」と思いました。
自分の嗜好性もほぼ固まり、客観的に自分に似合うモノの分別もついた今、自分が常にベストな状態でいることを念頭に置いてモノと対峙すれば、たとえ”超”が付くほどのお買い得品があったとしても、買わないという選択肢を自然と選ぶことができます。
また、自己主張しない大衆服に身を包むノームコアでもなければ、流行を追うファッションオタクでもない、自分と向き合うことで見えてくる自分だけの個性もまた、自然と見えてくるのだろうと思うのです。
(過去の記事)
以前書いた記事にもあるように、使わないモノが無いよう、似合わないモノはさっさと手放し、サイズが合わないモノはリペアに出してサイズを直す。もったいなくて大切にしまってあるモノはこの際思い切って普段使いにする、などなど。
自分がベストでいることを意識するだけで、着手できることがたくさんあります。自分がベストでいるためには、似合うモノは限られていること、またその数も決して数多くは要らないことを実感できるはず。
何より、限りある自分の時間において、常にベストでいたいと思うことができたこの一冊は、男女問わずぜひ一読いただきたい一冊となっています。
TAGS: ジェニファー・L・スコット・ミニマリスト・大和書房・断捨離 | 2015年10月29日