【本】「その後」が凄かった!関ヶ原敗将復活への道/二木謙一編著(SB新書)
敗将から学ぶ、失敗しない人生の選択
大河ドラマ「真田丸」で注目を浴びる真田幸村(信繁)が活躍した戦国時代末期は、群雄割拠だった時代とは異なり、戦ともなると大きな集団に分かれ対極同士がぶつかり合う、二極化された時代になります(この時代背景は、今の現代社会にも通じるところがあります)。
それはどちら側に付くかで生きるか死ぬかが決する、二者択一の大博打の時代でもあり、武将たちは皆生き残るために必死でした。
そのため、この時代には特にたくさんの人間ドラマがあり、ゆえにこの時代の様子を伝える書籍も山ほど存在しますが、戦に敗れ、敗将となった者たちのその後の動静を伝えるモノはあまり多くはありません。
そんな中で本書は、関ヶ原の合戦で敗れた敗将たちの人生を1人ずつ紐解く点で大変興味深い内容となっています。
(「その後」が凄かった!関ヶ原敗将復活への道/二木謙一編著)
著者は様々なタイプの敗将を紹介しながら、現代のビジネスにおける人物像と重ね合わせ、その行動パターンや決断に至る過程をなぞりながら、現代社会において我々に失敗しない選択をするよう促しています。
敗将にはそれぞれ運命のターニングポイントが存在しますが、それ以前に小さな判断の積み重ねにより最早選択の余地がない方向へと流され、いつの間にか「詰んでいた」という事態が散見されます。
生きるか死ぬかの戦国時代において、その場の判断以上に先々の見通しの甘さが命取りになることを痛感させられます。
(敗将の中で復活した者はごくわずか)
勝者と敗者を分ける決断の違いには小さな心理的要因によるものが多く、風向き次第で勝敗が左右されるのでは、と思う程にその差は僅差。
そして運良く勝者側に回れても、その過程が人から疎まれるものならば、後々敗者と同じ末路を辿り、また信念を貫いた者は一度敗者になっても復活することもあり、結果以上にその過程が重要であることを歴史が物語っています。
戦国時代、敗者には死が待っていますが、現代は首まで取られることはありません。
しかし、一度失敗するとなかなか復活することが難しいことは昔も今も大して変わりがなく、この本の中でも華麗に復帰できた者は一握りに過ぎません。
当然ながら失敗しないに越したことはなく、それゆえ敗将から学ぶことはことの外多いのではないでしょうか。