ブロードリーフ(3673)第9期定時株主総会レポート

投資・マネー

株主優待制度の今後の行方について考察する

2018年3月27日、ブロードリーフ(3673)の株主総会に初めて出席しましたので、備忘録として記録しておきます。なお、細かいニュアンスについては記録者の都合のいい解釈が多分に入っている可能性もありますので、参考程度にご覧いただければ幸いです。

  • 企 業 名 株式会社ブロードリーフ(東証一部上場)
  • 開催日時 平成30年3月27日(火)10:00~
  • 開催場所 東京マリオットホテル B1 ザ・ゴテンヤマボールルーム
  • 特殊株主 無
  • 議案内容
    第1号議案 剰余金の処分の件
    第2号議案 取締役5名選任の件
    第3号議案 監査役1名選任の件
    第4号議案 補欠監査役2名選任の件
  • 株主人数 100名程度
  • 手土産等 なし(今回から廃止)

総会の内容

昨年は満席で苦情が出たとのことから、新たに倍の規模の会場を確保したとのこと。しかし、同時に最近の傾向に倣って手土産を廃止したことで、会場内はスカスカな印象でした。

議事中の説明や質問者への回答は全て社長が1人で行い、質疑応答に入る前に今年初めて出席する株主のためにかなりの時間を割いて、社名の由来、事業内容などについて説明を行いました。

これは、個人株主にとってわかり難い業態であることや、質疑応答によく出る質問について事前に回答することを目的とした配慮であると思われます。

なお社長の口頭説明では、以下のような内容について説明がなされました。

  • ブロードリーフは広葉樹の意で、落葉で土に還り養分になる循環を会社に重ね、社会へ還元していこうという姿勢を表したものであること
  • 車のアフターマーケット用だけでなく、携帯電話販売(3大キャリア全てに採用)や旅行代理店向けのサービスも展開しており、リサイクル部品マーケットでは最大級の流通網を誇る(1日1万点以上、年400億円規模)プラットフォームを擁していること
  • 今後は、自動運転車への対応やシステムのクラウド化で課金方法を変えていくなどの課題に着手すること、など

質疑応答

株主1
①重要な子会社5社のうち赤字の会社はあるか。
②のれんの減損判定について、何年のキャッシュフローでやっているか。
社長
①昨年買収したタジマは、2017年は8,200万円の赤字だが、2018年は1億円の黒字に転換する予定。他の子会社についても全て軽微だが赤字を計上している(全5社赤字)。
②3年のキャッシュフローを5年分伸ばして、計8年で判定している。
株主2
投資有価証券について7.97億円あるのに受取配当金が300万円で少ないのでは。
社長
(投資有価証券の内容を説明した上で)一部は長期運用中であり、また、一部は技術やライセンス供与を受けるための投資も含まれている。
株主3
①配当(年間22円)+株主優待(クオカード3,000円+優待券2,000円分)で1株利益(EPS)以上の株主還元をしている。無理していないか。
②4月1日付で1株を2株に株式分割をするが、そういうことをすると株価もばたつき、優待が無くなってしまったりもするので心配している。
社長
①知名度が低く、一時は90%をファンドが保有していた時期があったが、アナリストや投資方針が変わると売り込まれるなどして株価の変動が大きかったため、個人を増やすようIR説明会を実施したり株主優待を導入したりした。昨年はタジマを買収したが、それまでは特に投資案件もなかったためキャッシュが貯まっていた。配当も株主還元であり、企業買収も株主還元の一環と考えている。キャッシュを使わないときには株主に還元する方針であり、決して無理はしていない。
②分割は投資しやすい価格にするために実施する。株主優待は協議して検討していく。
株主4
①取締役5名の内、社外が3名、プロパーが2名で、実質2名で運営していると考えると不安がある。
②5万7,000名の株主がいるが、今日会場にはあまり人がいない。株主との対話する機会でもあるので株主に出席してもらうような施策は考えているのか。
社長
①取締役会の他に執行役員会で業務執行を決めており、決して取締役会の中だけで運営しているわけではない。取締役会と執行役員会でガバナンスを効かせている。
②昨年の株主総会は満員で株主からお叱りを受けたため、昨年の倍の席数を設けた。また遠方から来られる株主もいるので手土産を出していたが、公平性の見地から今年は取り止めた。

11時過ぎ、質疑応答はまだ続いていましたが、時間の関係で退席しました。

所感(株主優待の取り扱いの今後の行方)

株主が将来のキャッシュフローから算出する方法について突っ込んで質問したことなどは、東芝問題の減損に絡み、またナック(9788)が監査法人から減損評価方法を突然変更され、総会で紛糾したことともリンクしており、株主が減損リスクに関して高い関心を寄せていることを実感しました。

さて、同社は4月1日に1:2の株式分割を実施することは発表していましたが、プレスリリースの中で今後の株主優待の取り扱いについては触れられていませんでした。

この1年間に急増した株主(私もその1人)の関心事は株主優待の今後の行方、その1点だったように思いますが、この件に関し、ある株主が(株式分割をしても優待の内容は維持してね)という意を含んだやんわりとした牽制的な質問が出ましたが、社長からは「協議して決定次第速やかに発表します」という回答に止まりました。

今や5万人を超える株主がいる状況の中、これ以上株主優待を拡充する必要性もなく、株主優待や総会運営など株主増加で経費ばかりが嵩むことを考えると、明光ネットワークジャパン(4668)のように株主優待は緩やかな縮小へと向かい、将来的に一定数の株主を確保・維持していく方針に転換していくのでは、と予想します。

そのため、1:2への株式分割後も、引き続き同条件で現状維持(200株保有でクオカ+優待券)か、場合によっては100株単位の優待内容に変更する際に改悪が織り込まれる可能性も考えられます。

こればかりはこの先同社から出されるプレスリリースを待ちたいと思いますが、今回大幅に株主優待制度を拡充した初年度ということもあり、まだしばらくは同一条件のまま維持するのでは、というのが株主総会に出席してみて感じた感覚です。

自動車のアフターマーケット用のソフトウェアばかり印象にありましたが、社長の話を聞いてみると事業の意外な広がりを知ることができ、大変有意義でした。株主優待目的だけではなく、本業の業績向上に期待して引き続きホールドしたいと思います。

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