【本】バカでも稼げる「米国株」高配当投資/バフェット太郎(ぱる出版)
ブログ「バフェット太郎の秘密のポートフォリオ」を運営する、自称「日本一アンチが多い米国株投資ブロガー」バフェット太郎さんの著書。発売日に購入したものの、だいぶ間が空いてしまいました。
バフェット太郎さんの投稿する記事は毎回参考になり、中でもマネーマシンの仕組みづくりや、投資における一貫したポリシーとそれをブレずに実践される姿に憧れる身としては、ブログで口酸っぱく説かれる内容の”エッセンシャル版”として手元に置きたくて購入。
バフェット太郎と名乗っていらっしゃいますが、バフェット太郎さんの投資スタイルはウォーレン・バフェットよりもジェレミー・シーゲルの方が近いと思います。この本の位置づけもジェレミー・シーゲル著「株式投資の未来」(赤本)や「株式投資」(緑本)の実践版といったところでしょうか。
バフェット太郎さんの投資スタイルは、高配当銘柄10銘柄で組んだポートフォリオに毎月新たに追加資金50万円(最近は100万円に増額)を投下し、最終金曜日に保有割合が最も低い銘柄を買い増しし、配当を生み出すマネーマシンを作る、というもの。
心理的に買い増しをし難い局面でも機械的に買い続けることをルールで厳格化し、明確な規律の下、ブレない投資を実践される姿は、相場に翻弄されがちな自分にとっては眩しく映ります。
(ブログを知らなかったら恐らく手を出さなかったであろう表紙と煽りタイトル)
この本の中では、とにかく投資経験のない人にも米国株投資を始めるきっかけを作ろうと腐心されていて、イラストなども挟みながら簡潔かつ痛快に語られており、米国株に興味のある人にはいいきっかけになると思います。
自分のように、「インデックス投資ではちょっと物足りないけど、日々個別株を探し回るのもちょっと・・・」という人にも、個別銘柄10種で構成して定期的に買い増しする太郎さんの投資手法は、1つの参考になるでしょう。
ただし、バフェット太郎さんの投資スタイルは、高い営業キャッシュを生み出し、年々増配を続けるワイドモート(参入障壁の高い)な企業であることが条件です。
しかし、これが稼ぐ力の弱い日本株の中から同様に10種を選定しなければならないとしたら容易なことではありません(恐らくだいぶ妥協しても5種も選べるかどうか・・・たぶん不可能でしょう)。
そのためにも、本書でも米国株投資を強く勧めているわけですが、ただ、ずぶの素人に米国株投資を始めるさせるのは本当に(心理的)ハードルが高く、その抵抗感をあの手この手を尽くして1枚ずつ剥がそうと腐心されているのを強く感じます。
いかに米国企業が、日本企業と比べて稼ぐ力に秀でており、歴然とした差があるかは、やはり日本株投資で多少経験を積んだ人が、「何これ?日本株より米国株の方が断然すごいじゃん」ってなるわけで、そういった意味でも株をちょっとかじったくらいの人が読んだ方がずっと理解も早く、気付きも多いでしょう。
日本株と米国株の比較で「東芝とアップル、あなたはどっち買うの?」って話とか、遠慮のない、歯に衣着せぬ語りっぷりに好き嫌いも別れるでしょうが、語られる内容には十分な説得力があり、一見の価値があります。
アンチが多いせいでAmazonの評価は荒れておりますが、素人にも、投資経験者にも、それぞれ気づきの多い一冊だと思います。あまり他人の評価は気にせず、まずは先入観のないフラットな状態で一読されることをオススメします。