息抜き、時々、気持ちの中の澱出し

時々一人で映画を観に行く。自宅でストリーミング配信で観るのも気軽でいいのだけれど、とんだ邪魔が入るのでどうも集中できない。それに、制作者に敬意を払い、鑑賞する時は集中できる環境で見たい。
映画の、別の人生を擬似体験するような非現実感が好き。だから専らヒューマンドラマにばかり食指が動く。
第89回アカデミー賞作品賞を最後まで競った「ラ・ラ・ランド」と「ムーンライト」の制作陣による次作が同時期に公開されたので、それぞれ観てきた。

「ファースト・マン」と「ビール・ストリートの恋人たち」。
「ファースト・マン」は、自分がライアン・ゴズリング好きだから、という贔屓目もあるが、それを差し引いても良かった。ニール・アームストロング船長のご子息が「史実に忠実なのでぜひ観て欲しい」と言ったそう。
もう一方はまぁまぁ。ちょっと期待をし過ぎた。全体的に映画.comの視聴者評価と自分の肌感覚はほとんどずれていないようだ。
慌ただしさで心がかき乱されたり、重圧を感じたりした時に2時間ばかり映画館に飛び込み非現実に没頭する。当然、その時の気分で観たい内容も変わる。その辺は音楽と一緒だけど、音楽以上に鎮静作用があると感じる。
幕引きの時に感じる、あらゆる不安や懸念を映画の中に残してきたような感覚。大概は大した不安でなかったと思えてくる。気持ちの中の澱を洗い流す、そんな効果が映画にはある。
2019年3月3日