ランニングシューズの買い換え時を知らせる1つのシグナル
走るほどに愛着が湧き、足にも馴染んで走りやすくランニングシューズですが、走れば走るほど消耗するのも事実。一見するとキレイなので、まだまだ履けそうな気もして勿体なく思い、買い替えるタイミングをズルズルと先延ばしにしがちです。
しかし、ランニングシューズの持つソールのクッション性が失われた時点で、残念ながらランニングシューズ本来の役割は全うできなくなり、そのまま履続けていると練習効率は落ちるばかりか、最悪の場合ケガの原因にもなります。
判断の難しいランニングシューズの買い換え時をどこで判断したらよいでしょうか。
アウトソールの減り具合やクッション性が感じられなくなったらなど、様々言われていますが、その人の走り方や感じ方には差があるため、明確な判断基準にするのは難しく感じます。
そこで私は「ボールジョイント(足指の付け根)部分に感じる摩擦熱」を1つの判断基準とすることを提唱します。
ランニングシューズには走り方や熟練度に合わせて様々なタイプのシューズがあります。最近流行りのカーボンプレートの入った反発力を活かして走るタイプや、かかとからつま先までスムースな体重移動によりコロコロと足の回転数を上げて走るタイプなど。
加えて走り方も、かかと着地からつま先着地(フォアフット走法)まで千差万別ですが、今や走る人に合ったランニングシューズが選べる時代となりました。
力強く蹴り出して走る人も、回転数で軽やかに走る人も、負荷を抑えてそろそろとすり足気味に走る人もいて、アウトソールの減り方だけでは一概に交換時期を定義することはできません。
更に、ランニングシューズの反発性を支えているのはアウトソールではなくミッドソールです。そのため、アウトソールの減り具合を見てもランニングシューズの寿命を判断することはできません。
着地や蹴り出しのたびにインソール側から圧が掛かっているため、アウトソールはまだまだ残っているようでも、ミッドソールが消耗している可能性も多分にあるからです。
しかし、どんな走り方にせよ、最後の蹴り出し(リリースポイント)はボールジョイント部分になります。
まだソールがしっかりあるうちは反発性があり、足の衝撃を抑え、推進力を生んでくれますが、ソールの消耗が進むと思ったように推進力が得られず、自然と気持ち良く走れるテンポまで加速しようと蹴り出しを強くします。
蹴り出しが強くなると、ボールジョイント部分に掛かる負荷が大きくなると同時に、ソールが消耗(潰れ気味)しているためにミッドソールが薄く硬くなりはじめていることから、インソールとボールジョイント部分との間に過度な摩擦熱が発生します。
特に中指の付け根部分を中心に発熱し、熱さだけでなく、摩擦により足裏に痛みを感じることもあります。それが5km程度走っただけでも感じるようになったら、そのシューズではもはやハーフやフルを走れないことはもちろん、練習にも用を成しません。
良くわかりにくいという人は、ヒザに感じる「ズンッ」という鈍い鈍い痛みや、ふくらはぎの「ピキッ」という攣るような痛みを走り始めて間もない段階で感じた時は、摩擦によるボールジョイント部分の発熱や痛みがないかを確認してみてください。
決して安い買い物ではないランニングシューズ、見た目はまだまだ履けそうで引退させるのはもったいないと感じますが、ファッション性の高い靴なら普段履きに、そうでなくてもウォーキングシューズや散歩用としてリタイアさせて、新しいシューズに買い換えましょう。
その方が練習効果も上がり、ケガも未然に防ぐことができます。 もしも買い替えするのが勿体ないと感じるならば、「走れればいいや」などと間に合わせのセール品を買うのではなく、ランニングシューズとして役割を終えた後、普段履きしてもファッショナブルな気に入ったデザインのランニングシューズを選ぶのが賢明です。
2020年8月5日