【本】心配事の9割は起こらない
難しく考え過ぎの貴方に(とりわけ自分に)
季節の変わり目のせいもあるのでしょうか?最近、ストレスで休日も心置きなく休めていない状況が続いています。心に不安や心配事があるのでしょうが、どうもスカッとしないどんよりした雲が立ち込めています。(ぱあっと大きな買い物でもできたら気も晴れるのでしょうが・・・。)
さて、読書の秋、芸術の秋、の到来ですが、なかなか読みたい本、聴きたいCDを見つけることができず・・・。(見つからない時は全然出会えないものですね。)しかしどうしても気晴らしをしたくて、簡単に読めそうな本を、と気分転換のため書店で手に取ったのがこちらの本。
- 心配事の9割は起こらない/枡野俊明著(三笠書房)
個人的に「禅」に対して大した興味もないですし、ストレスを抱えたまま禅問答のような小難しい話を読むつもりなどもサラサラなかったのですが、パラパラめくると意外に興味をそそられる内容が色々と書かれており、何より今の気分と内容がピッタリでした。
「減らす」、「捨てる」、「シンプルに生きる」は最近の自分にとってすっかりキラーフレーズとなっています。
この書籍は、禅僧である枡野氏が禅語を通じて、人々の抱える不安や悩みを客観視することで、自らを縛る過度なストレスから解放するといった内容。禅語だけではなく著名人の格言なども引用していますので、どっぷり禅の世界という訳ではないのですが、逆にとっつきやすくて読みやすくなっており、禅語の解説を読むたびになかなか面白いものだと感じます。
紹介されている禅語のうち、特に好きな言葉は「喜捨」でしょうか。持たない、抱えない、進んで捨てることで心が穏やかにいられると説きます。また「少欲知足」はまさに今の自分に必要な禅語です(笑)。もちろん欲深さを一向に改善できないのが煩悩深い自分の性なのですが・・・。
著書の中で枡野氏は、仕事、人付き合い、お金や死生観など、人生のあらゆる面について触れていますが、禅語を引用しながら、時には絡まる楔を断ち切り、時には丁寧に紐解きながら、シンプルに生きるすべを提唱しています。もちろんそれだけで不安や悩みが解消されるわけではありませんが、読むほどに心に占めるそのものの大きさが、実は大したものではないことに気付かされます。誰にでもオススメ、という本ではないですが、ストレス社会から下手に現実逃避をするよりは、よほどイイ気分転換ができます。
また、この本を通じて禅の面白さ、奥深さの一端を感じることができ、興味がなかった自分でも少なからず視野が広がる思いがします。喧騒から一歩外れて禅寺で座禅を組むことは難しいですが、読むだけで心が洗われる感じは新鮮な感覚。これまで関心のなかった分野の本を読むこともたまにはいいものだなぁと感じさせてくれました。
2013年10月4日