【CD】 Donny Hathaway/Never My Love:The Anthology
愛ある音楽を、今再び
僕が生まれた時にはすでにダニー・ハサウェイはこの世にはいませんでした。しかし、彼のもたらした音楽にどれほど影響を受けたかは計り知れません。ダニーがホテルから身を投じた年齢に自分もなった今、このアンソロジーBOXのリリースに感慨深いものを感じました。
時代を超えても色褪せることのない、力強く、暖かい、抱擁感をまとったその伸びやかな声。未発表曲が多数収録された今回のアンソロジーを1枚1枚丁寧に聴きながら、今改めて激動の70年代を駆け抜けたダニー・ハサウェイというシンガーの怒りや叫び、そして愛に触れ、時に心に沁み渡り、時に激しく心揺さぶられる思いがしました。
10年以上も前に聴いた「LIVE」の衝撃が未だに忘れられないでいる僕にとって、アンソロジーBOXは新たな発見をもたらす嬉しい贈り物となりました。そんな「LIVE」を彷彿とさせるディスク3では、未発表ライブ音源である1971年のザ・ビターエンドでの演奏がたっぷり収められています。「LIVE」ほどの濃厚さはないものの、やはり極上のライブ演奏をノンストップで堪能できます。
ディスク2にはスタジオ収録の未発表曲が13曲も収録されています。これだけの曲が埋もれていたことにまず驚き、没後30年以上たった今、こんな新鮮な発見に出会えたことに自然に笑みがこぼれます。音楽に対して、これほどの昂揚感を持って耳を傾けることも久しぶりのことです。
最後に、このアンソロジーBOXにはぶ厚い英文ライナーがついています。Roberta Flack(ロバータ・フラック)によりダニー最後の日の様子も綴られています。英語が苦手な自分ですが、今回は訳文ではなく原文で読みたく。ダニー・ハサウェイの生涯を文章で少しずつ紐解いてみたいと思っています。
TAGS: DonnyHathaway | 2014年1月28日