【本】富者の遺言 お金で幸せになるために大切な17の教え/泉正人著(サンクチュアリ出版)
「人にはそれぞれ自分が扱えるお金のサイズがある」ということ
著者の名前は以前より知っていましたが、著書を手に取ったのはこれが初めて。
日本にはお金の教養を学べる機会が少ない、と書き起こされたこの小説は、随所に格言とも言える言葉が散りばめられており、ストーリー仕立てと言うことも相まり、興味深く読み進めることができました。
わかっていたようで改めて考えさせたお金のこと。一読に値する書籍でしたのでご紹介したいと思います。
(富者の遺言/泉正人著)
お金は誰の所有物でもなく、自分にお金を運んでくれるのは必ず自分以外の他人。なぜ自分の元にお金が集まってくるかといえば、それはその人の信用に引き寄せられるのだ、と著者は言います。
信用のある人にはたくさんのお金が集まり、信用の無い人にはその場に留まることなく手元からすぐにすり抜けていく。このストーリーの主人公はある事業に失敗し、あらゆる信用を失ったところからこのお話が始まります。
お金はその人を信用を見える化したモノだと言います。お金の使い方でその人の人となりがすぐにわかるし、勉強や仕事を通じて社会的な信頼を積み重ねることで結果としてより多くのお金が回ってくるようになります。そしてそのお金をさらに有効に使うことで、より大きな信頼とお金を扱えるようになっていくのです。
信用のある人の元にはお金を託そうとより多くのお金が集まり、さらなるチャンスが巡ってきますが、器の小さな人にはお金が回ってこないばかりか、仮に手元にお金が渡ったとしてもすぐに浪費してしまいます。人には扱えるお金のサイズがあるのです。
時に大金が舞い込んだ際、すぐに使ってしまった経験は誰にでもあるでしょう。著者は、突然お金が舞い込んだ時、すぐに浪費(散財)してしまうのは、その人にとって身の丈以上のお金を手にしたからだ、と指摘し、ドキリとさせられました。
(お金に支配された主人公と老人の話)
より大きなお金を掴むには、挑戦を繰り返して経験を積むしか方法はありません。挑戦に失敗はつきものですが、失敗を恐れず挑戦することでしか得られない経験もある、と言います。挑戦に消極的な人は失敗を恐れているのではなく、お金を失うことを恐れている、との指摘にはうなづかざるを得ません。
しかし、人は1,000万円を誰かに託さなければいけないとしたら、誰に託すでしょう?子供や学生はもっての外ですが、実際に自らの手で大金を扱ったことのない我々のようなサラリーマンにもまた託そうとはしないはずです。たとえ今は無一文でも実際に自らのお金で1,000万円を動かしたことのある経験を持つ人に託そうとするのではないでしょうか。つまり、挑戦した人のみが持つ裏打ちされた経験こそがその人の扱えるお金のサイズを大きくするのです。
仮に事業に失敗したとしても、成功するか否かは運によるところも大きく、万事うまくいくわけではありません。しかし、それでも挑戦して得られた経験は大きく、経験を経て広げた器にはそれ相応のサイズのお金が自然と入ってくるようになる、と言います。そして信用がその人にチャンスを増やし、挑戦の繰り返しが成功へとつながる唯一の方法となるのです。
小説の内容は事業に失敗し、絶望の底にいる男に謎の老人がメンターとなってお金の性質を説いていくという内容ですが、これには著者自らが過去に経験がことがふんだんに活かされています。
他にも「ファイナンシャルプランナーに金持ちはいない」「貧乏人は物の価値を考えず所有することのみを目的とするから無駄に浪費をする」など全く耳の痛い話だが、なるほど、と納得させられる話ばかり。そして最後は前向きになれるクライマックスを迎えます。
百聞は一見に如かず。ぜひ気軽な気持ちでご一読いただければお金に対する視野の広がること請け合いです。
TAGS: 泉正人 | 2014年5月22日