熱帯夜の物書き
密かな夏の夜の楽しみ
寝苦しい夜が続いています。暑さでなかなか寝付けずに、インターネットや読書など、眠気がやってくるのを待ちながらウトウトするまで過ごし・・・なんてついつい夜更かしをしがちです。
眠る前のインターネットは目が冴えてしまいますし、筋トレは体が興奮してうまく眠れない。ありきたりですが読書が一番いい気がします。レイモンド・チャンドラーの「ロング・グッドバイ」を引っ張り出して、枕元に置き、毎夜1章ずつ読み、眠りを誘う日々。
そんな中、最近は夜な夜なノートに向かって1日きっちり1ページ、書き物をしています。書いているからといって眠りに誘われるわけではありませんが、どうやら書くほどに頭がすっきりして、床につくと気持ち良くスッと眠りに入っていけます。
(愛用する筆記具たち)
書き出す前に万年筆にたっぷりとインクを補充して(途中で擦れてきたりしたら眠りを覚まされたみたいに嫌な気持ちになる)、考えるよりもまず先にペンを走らせ、取り留めもないことをつらつらと書き記す。
毎回、特定のテーマがあるわけではなく、その日に考えたことや感じたことを、頭に思い浮かぶままに、脳からペンへとずるずる引きずり下して文字に変換する作業。今日の出来事でもいいし、読んだ本の感想でもいい、明日の予定でも思い浮かんだものならなんでも。
考えていることを文字にする行為は、窮屈な部屋から物を運び出だす感覚に似ています。記憶しておかねばならないという緊張から書き留めることで解放されるのか、それとも書き留めることでその日の棚卸ができるからなのか、どちらにせよとても安心するのです。
自分の考えは自分の頭の中にしまい込みがち。文字にしてもありのまますべてを文章で再現することはできませんが、文字にすることで次第に遠ざかる記憶や体験を、記憶の底から引き揚げフラッシュバックするための鍵になり、記憶をつなぎ止めるアンカーになります。
(書くほどに気持ちが落ち着きます)
今では夜寝る前の一つの楽しみにもなっていています。数日前のノートを読み返すだけでも面白く、いずれもっと役立つ時が来るかもしれない、という期待も込めて。
じっくりノートに向かって黙々とペンを走らせてみる、ちょっとオススメの入眠法です。