東京個別指導学院(4745)第34期定時株主総会に行ってきた

投資・マネー

2017年(平成29年)5月24日に開催された、東京個別指導学院(4745)第34期定時株主総会に行ってまいりましたので、ご報告したいと思います。

1.報告事項のトピックス

まず、事業報告で報告された内容の中でのトピックスとしては、何といっても「5期連続の増収増益」の達成でしょう。

その他、取り組み中の経営戦略としては大きく3つ挙げており、①事業ポートフォリオの拡充(新規5教室の開校や文書教室8教室の開校など)、②教育力強化(採用センターによる効率的・集中的講師の確保・管理など)、③ベネッセとの連携強化(塾生募集等に関する連携など)詳細な説明がなされた。

また、「おもてなし規格認証2017」で2スター(現時点での最高ランク)を獲得したことも成果の表れとした一方、課題としては期中下方修正を発表した業績見通しについて、最終未達で終わったこと、としています。

2.質疑応答の内容

次に質疑応答が行われ、創始者で前社長の馬場氏からかなり突っ込んだ質問が飛び、経営陣は対応に追われていた印象を受けました。以下、質疑応答の要約です(速記で記録したのでニュアンスの違いがあるかもしれませんがご了承ください)

Q1.
①パナマ文書の件、実際のところはどうなのか。
②株主優待(授業料割引券)が消費できない。同業の明光ネットワークジャパン(4668・以下「明光ネット」)は保有期間に応じてクオカードを出している。教育会社らしくクオカードでなく図書カードなどはどうか。
A1.
①ご心配をおかけして申し訳ない。社内調査の結果、会社設立の実態は無く事実ではない。
②株主優待制度については金券類の導入も検討したが、コスト増で見送った。
Q2.
株主優待制度の金券類の導入については、毎年株主総会のたびに「見送った」と報告しているが、これが株主の増えない理由では。明光ネットは株主数4万人超、当社はたった3,500人程度。経営陣は本当に株主数を増やそうとする気があるのか。その気があるならもっと魅力ある株主優待制度に見直すべきでは。
A2.
株主優待券の使い勝手が悪いのは承知している。株主還元には2つの側面があると考えている。経済的な還元は配当金で、サービス面での還元は株主優待で。株主優待券はファン作りの一環でもあり、配当性向50%以上という基本方針は変えない。
Q3.
①この株主優待制度の議論はもう10年以上やっている。株主優待券の利用率はどのくらいか。利用率が少ない様ならやる意味がない。外食産業は食事ができる株主優待券(食事券)と配当の合計で還元利回りを考えているのでPERも高い(株価も高い)。使用されていないのなら授業料割引券にこだわる必要はないのでは。
②業績見通しは株主との約束であり下方修正は誠に遺憾。下方修正の発表が遅い。どうしてもっと早く発表できなかったのか。発表に至るプロセスはどうなっているか。
③先日2月末の生徒数の修正が発表されたが、なぜ5月になってから修正が発表されたのか。遅過ぎはしないか。
A3.
①正確な数字が手元にないのではっきりした数字は申し上げられないが、利用率さほど多くない。
②3年生の卒塾の早期化が原因。ギリギリまで数字を追った結果時間を要してしまった。
③②とともに業績管理の甘さだと内省している。
Q4.
これまで株主総会で何度も株主優待制度について議論されてきたのに、利用率が把握できていないのは経営陣の問題意識の甘さではないか。
①教室長が2名体制でない教室数は何教室か。
②1教室当たりの広告宣伝費の推移はどうか。
A4.
①現在、教室全体の約20%に2名以上の教室長を置いている。
②1教室当たりの広告宣伝費は、30期で1千万円、34期で950万円。その他は機密情報なので申し上げられない。
Q5.
①「事業成長の源泉は人材」とのことだが、信頼で成り立つビジネスだけに不祥事は信頼の失墜につながり直業績に影響しかねない。学生アルバイトも多いと思うが、身辺調査などはしているかなど、リスク管理体制はどうなっているか。
②株主が株主優待制度について金券にこだわるなら導入する代わりに減配すればどうか。1株利益26.5円の利益に26円の配当は多過ぎる。
A5.
①アルバイトは800名ほどいるが身辺調査はしていない。面接とテスト、初期研修のボリュームを増やし、コンプライアンス教育(特にインターネット上にアップするなどの注意)を徹底している。また、2016年より監視カメラを各教室に順次導入し、モニタリングしている。事件が起こった際は危機管理委員会を開き、適正に対処している。
②これだけ株主優待制度の内容に意見が出ているので社内で再度議論したい。今回の「減配したら」というご提案については「ご意見」とのことなので、動議ではなく意見として受け止めたい。

大株主よりまだ質問が続く様子だったため、途中で切り上げて退席しました。

3.手土産と出席した感想

係員の対応も行き届いており、「おもてなし規格認証2017」で2スターを獲得した同社の顧客に対するきめ細やかな対応が評価される理由の一端を見て取ることができました。

開式前や事業報告中に2,000人規模の講師が集まるイベント「GTフォーラム」の映像を上映するなど、教育現場の素晴らしさや感動を呼ぶようなVTRを流すなどして、同社のファン形成という点で株主総会の見せ方や仕掛けは良かったと思います。

一方で、創始者で前社長からのかなり突っ込んだ質問が寄せられ、経営陣は回答に追われる一幕もあり、質疑応答で現実に引き戻された感じもしました。

授業料の割引が受けられる株主優待券についてはずっと以前からたびたび問題になっているようで、たびたび明光ネットと比較され、この日も3名以上の株主から株主優待制度の見直しを厳しく要求されており、今後も尾を引くことが予想されます。

今後、株主優待制度の見直しが実施されるなら、株価にもポジティブに反応するように思います。結構突っ込まれていたので、今後見直しされる可能性も大いにあるかと思います。

(手土産は花園饅頭「春日山」)

なお、受付では500mlペットボトル水と、手土産として花園饅頭「春日山」をいただき、帰宅後に家族で美味しくいただきました(特に子どもが喜んでました)。

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