クリーニングに出すと衣類の寿命が短くなると言うが、それ以前の問題として
冬用のスーツを引っ張り出したらカビと虫食いの被害に遭いました。
ひどい状況ゆえ、詳細は割愛しますが、オフシーズンに入った衣類の管理を怠った当然の報いが、今年も着弾した形です。そして振り返ってみると、お恥ずかしながら同じようなことを毎年のように繰り返しているように思います。
定期的にクリーニングに出せばいいのでしょうが、ただ、衣類をクリーニングに出すことに抵抗があります。それは料金云々ではなく、洋服好きに付きまとう「クリーニングに出すと衣類の寿命が短くなる」という呪縛にも似た意識。
ファッション誌などでその筋の有名人がそのように語り、何度となく読んできたせいもあり、なるべくクリーニングに出さないことを美徳とするような意識が根底に植え付けられている気がします。
クリーニング洗いに使用される溶剤が生地の寿命を短くすると言われていますし、確かに洗い続けると衣類の寿命を縮めることもあろうかと思います。
ただ、改めて考えると、それ以前の問題として、全くクリーニングに出さずにいる方がよっぽど短命に終わるように思えてなりません。
いくら自宅での手入れを怠らなかったとしても、皮脂や汗がブラッシングだけで落とせるわけがありません。いつかは水を通して洗わなければ汚れは堆積し続け、衣類を劣化させます。
クリーニングに出さず、自分でこまめに手入れをすれば延々と着ることができるか、と言われれば答えはノー。カビ・シミ・虫食い等により着られなくなるリスクは年々高まるなど、ブラッシングだけでは解消できない問題は確実にあります。
それに、クリーニングによる衣類の寿命を心配していますが、そんなに心配するようなことでしょうか。
時間の経過と共に、身体の変化によるサイズアウト、トレンドの変化、嗜好性の変化などにより、衣類の状態とは関係なく、自ら着なくなることだって多分に考えられます。
モノを大切に手入れして長く着続けることは大切ですが、仮にクリーニングに出さずとも遅かれ早かれモノとしての寿命を迎えますし、このように寿命以外の理由で着なくなることだってあります。1つのモノを一生着続けることは稀なのです。
自分の死後、着ていたモノたちが博物館に保存されたり、子どもに受け継ぐ必要があるのであれば衣類の寿命にも気を配らなければなりませんが、本来自分が着たいと思っていられるうちだけ清潔な状態を維持できていればそれで充分なはず。
そう考えることで、クリーニングに対する、まるで偏見にも似た抵抗感、呪縛からようやく解放されました。
最近ではクリーニングでも水洗いサービスの提供が増え(多くの店では「汗抜き加工」と表記されています)、溶剤では完全には落とせないと言われたカビ菌も水洗いで除去できるようになりました。
また、ちょっと調べてみると、地元のクリーニング店でも、シーズンオフ期間中の衣類の保管サービスを扱っているサービスがあって驚かされるなど、かなり使い勝手が向上しているように感じます。
以前からクリーニングついでにほころびなども補修してくれたりしましたが、かけはぎなどの専門的な修理も、わざわざ遠方の専門店まで持って行かずとも近所のクリーニング店で依頼できる時代。
こんなに身近で、洗濯・保管・修理までまとめて受け入れてくれる窓口があるのなら、使わない手はありません。
書く言う私も今回の虫食いで困り果てましたが、専門店には出さずにクリーニング屋に相談したところ親身に相談に乗ってくれました。
今回の失敗が無ければクリーニング店とはずっと疎遠なまま、これほどサービスが充実したクリーニング店が近所にあるなんて知る由もなかったでしょうから、今回の気づきといい、前向きに考えれば怪我の功名だったかもしれません(・・・多少強引で無理があるのは本人が一番理解しています)。
今回も高い勉強代となりましたが、どんどんとサービスが拡充され、活用の幅が広がっているクリーニング店と、これをきっかけに上手に付き合っていきたいという思いに至っています。
長い独り言にお付き合いをいただき、ありがとうございました。
2019年10月30日