自分好みのコーヒー豆を探求する~エチオピア産コーヒー豆の比較考察①
コーヒーを日常的に嗜むようになり、スパイシーな柑橘系の香りと爽やかな酸味を併せ持つエチオピア産のコーヒー豆が一番自分好みであることは、今や確信となりつつあります。
それならば、エチオピア産のコーヒー豆の中でどれが最も自分にとって最適な豆なのか、より深く探究してみたくなりました。
前提条件として、あくまでも自分が毎日飲むためのデイリーコーヒーですから、高価で美味しいのは当たり前。値段も手頃で味・香りのバランスが良く、何より自分好みのコーヒーを追求しようかと。そんなわけでまずは下限を試してみることにしました。
エチオピアコーヒーについて
前回取り寄せたイルガチャフィG2はウォッシュド(水洗式)でしたが、アンウォッシュド(ナチュラル・非水洗式)はどうか。また、エチオピアの代表的な産地、ジマ、レケンプティ、ハラー、リム、シダモ(イルガチェフェはシダモの一部)ではどう違うのか、など興味が尽きません。
ちなみにエチオピア産のコーヒー豆は、ウォッシュドは主にグレード2、アンウォッシュドはグレード4、5が輸出対象となっており、グレード6以下は輸出が禁止されているそう。
中には非水洗式のグレード1も販売されていますが、毎日飲むデイリーコーヒーを追求したいので、上を目指すと今回の目的とは少し離れていってしまうため、上位グレードは次回のテーマとして残しておきます。
今回用意した生豆は3種類
さて、松屋珈琲さんで手に入れることのできるエチオピア産のアンウォッシュドは、シダモG4とレケンプティG4。
ちなみにG2になるとウォッシュドとなるため、シダモG2はイルガチャフィG2(同じく水洗式・イルガチェフェはシダモ地区の一部)である程度想像がつくので今回は割愛。この産地の違う2種類のグレード4の生豆を取り寄せました。
これに前回取り寄せて少量だけ残っていたイルガチャフィG2を加えた3種類の豆を比較していきます。
パッと目にもウォッシュドに比べて明らかに欠点豆が目立つアンウォッシュドの生豆。アンウォッシュドでもブラジル産のサントスNo.2はそこまでではなかったですから、欠点豆の多さはやはりグレードの問題でしょう。
果肉が付いたまま乾燥させるので複雑で独特の風味があるとのことですが、果たしてどうでしょうか。
G4ということもあってお値段はとにかく安いので、これが本当に美味しければ文句なしなのでしょうが、欠点豆を取り除いたら結果的にトントンだったなんてこともありえますから。
見た目にも大きく異なる3種類の生豆
左から順にイルガチャフィG2、シダモG4、レケンプティG4。生豆を比較してみると、ウォッシュドのものは青白くて無臭に近く、アンウォッシュドは黄色みがかっていてほんのりと特有の香りも漂います。
また、イルガチャフィG2の豆は小粒で粒が揃っているのに対し、シダモG4は粒が一回り大きく、レケンプティG4も大きく縦長です。ただ、G4はどちらも形がいびつで不揃いです。
ハンドピッキングで欠点豆の差が歴然
それぞれ100gずつ取り分け、それぞれ欠点豆をハンドピックします。
想像していましたが、G4の生豆は欠点豆が多く、形もいびつなので欠点豆と正常な豆の判別にも悩みます。少しばかり目をつぶってピックしないと大半を取り除くことになってしまいそうで心配になるほど。
一方ウォッシュドのイルガチャフィG2は、欠点豆がほとんど見当たりません。いや、あまりにも差があり過ぎるのではないか、とG4よりも厳しく観察してピックしましたが、手心を加えたにも関わらずその差は歴然。
イルガチャフィG2が98gも残ったのに対し、レケンプティG4は93g、シダモG4に至っては83gしか残りませんでした。
焙煎の難易度にも影響が出るグレードの違い
3種類の生豆を順次焙煎していきます。ハゼの違いも確認するため、2ハゼ目の鳴り始めたら火から降ろすシティローストで揃えました。やはり焙煎している間にも違いを感じました。
2度のハゼがそれぞれはっきりと聞こえたイルガチャフィG2は、その音にもメリハリのあるに対し、G4の豆はなかなかハゼず、ハゼてもダラダラと煮え切らない感じ。豆の大きさや不揃いゆえか、はたまた水分量の問題か。恐らくそのどちらとも起因していそう。
焙煎後に残った豆の量は、イルガチャフィG2が87gだったのに対し、シダモG4は69g、レケンプティは79gという結果に。グレード4の歩留まり率は相当悪く、これまでのところハンドピックの手間なども考えると明らかにイルガチャフィG2が優勢。
焙煎直後はイルガチャフィG2がシャープではっきりした香りなのに対し、シダモG4は芳醇で甘さや苦みが混ざった厚みのある香り、レケンプティはスパイシーさが強く前に出ている印象を受けます。生豆の時には大人しかったイルガチャフィG2は、焙煎で香りが立ち、一気に花開いたかのよう。
飲み比べて味と香りを比較する
肝心なのは味と香り。焙煎後、一晩寝かせて味が安定するのを待ち、飲み比べてみます。
イルガチャフィG2は雑味も無く味がスッキリしていて、程良い酸味とコクのバランスがしっかり取れ、鼻孔から脳天に突き抜けるような、スパイシーさと柑橘系が混在するクラクラするような魅惑的な香りがします。
それに対し、レケンプティG2は奥行きのある味ながら少々のエグみを、シダモG4においても渋みを感じ、アンウォッシュドの野性的な苦みや甘さといった香りに奥行きがあり、複雑な味わいというのはこういうモノか、と実感させられました。
これは好みの問題ですが、深めに焙煎して飲むならまた印象が変わるやも知れませんが、浅煎りですっきり飲みたい自分には、香りが立っていて、すっきりした味わいのウォッシュドの方が好みかも。
加えてハンドピックの手間や歩留まり率の悪さなどを勘案すると、イルガチャフィG2が最適解のように感じます。
そんなわけで、しばらくデイリーコーヒーはイルガチャフィG2で落ち着きそう。
ただ、一方で、今度はグレード1のイルガチャフィG1(ウォッシュド)やシダモG1(アンウォッシュド)も気になり始めています。値段的に倍近く違いますからどれくらいの差があるのか興味津々です。
今回取り寄せた生豆たちをしっかり堪能し飲み終えたら、イルガチャフィG2を5kgを購入するついでに、更に上位グレードの豆も併せて取り寄せて試してみたいと思います。
TAGS: コーヒー自家焙煎 | 2020年1月30日