【本】シェール革命後の世界勢力図

シェール革命を学ぶ

近年注目を集めるシェールガス・オイルについてですが、これまであまり関心なく過ごしておりました。しかし、先日読んだ本を契機に、シェール革命の影響から世界の資源市況が想像以上に変化する可能性を秘めた大変大きなトピックであると感じ、より詳しく知りたいと思い、手始めに購入したのがこちらの本。

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  • シェール革命後の世界勢力図/中原圭介著(ダイヤモンド社)

中原氏は変化の激しい世界情勢についての書籍を、かなり短いサイクルで出版されておりますが、専門的知識を持たない人にも分かりやすく、毎回、池上彰的「そうだったのか!」を提供している方だけに、私は刊行されるたびに気になり、時々購入しては読んでいます。

世界中で消費されるガスや原油。しかし今後、これまでより大幅に安価で、一説には現在の消費量の300年分とも言われる膨大な埋蔵量を誇るシェールガス・オイルが市場に出回ることで、世界各地で資源の玉突き現象が起こり、それに伴うパワーバランスの変化や、シェール革命の恩恵に預かる国・後退する国の展望などが実によくわかります。

震災直後、電力不足問題で揺れる日本に対し、ロシアが真っ先にガス供給の準備があることを表明したことや、アメリカ軍が中東から相次いで撤退している現状など、これらの背景にも実はシェールガス・オイルが関係していることを明かし、その関連付けなど、なかなか面白く読むことができました。

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この本の一番の要旨は、なんといってもシェール革命による勢力図の変化予測でしょう。シェール革命とともにアメリカが再び世界経済の中心へと返り咲く一方、欧州はあと10年回復せず、さらに近年急速に成長してきたBRICsをはじめとする新興資源国は大きく存在感を失うだろうと予想しています。まず、ガス資源に支えられるロシアは肝心の天然ガスがその価格の高さからアジア市場を失地し、中国ではシェール革命の前に本当の革命が来る可能性を示唆、またブラジルもクレジットブームから国民の借入金比率がアメリカの不動産バブルの時のそれを大きく上回っており、これらの新興国が本格的なシェールガス・オイルの登場を契機に低成長国へと逆戻りするような大きな局面を迎えるとしています。

一方の日本は、というとインドと同じくシェール革命の恩恵を受けられる国され、その展望には日本人として素直に喜ぶべき内容ではありますが、安倍政権と日銀による量的緩和とインフレ誘導が間違った政策であるとし、リフレ派の政策により景気後退懸念を警鐘しています(その辺は先日読んだジム・ロジャーズと同様、量的緩和政策を取る政府、さらには経済学者を痛烈にdisっています)。経済学がどうこう言える立場にありませんが、今回の参院選でねじれが解消されただけに気になるところです。

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内容はあくまでも一つの著者の見解であり、もちろんさまざまな主義・主張・学説があり、自分たちで精査し判断する必要がありますが、個人的にはしばらく新興国から距離を置こうと、先日ポートフォリオも見直しをしました。この決定が正しかったかどうかは神のみぞ知る、ですが、これまで新聞を読んでも世界情勢が点でしか理解できなかった人にとって、この本を読むことで点が線に結びつく面白さを実感でき、より経済について関心を寄せるきっかけとなるのではと思っております。興味のある方は是非。

ではまた!

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