【本】35歳から「一生、負けない」生き方~ランチェスター秘密の人生法則~
35歳という人生の中間点に向けて
30歳を過ぎてから今日までは本当にあっという間でした。時間の過ぎ方がとてつもなく早く感じ、20代の頃には感じることのなかった時間に“流されている”感も次第に強く感じられるようになりました。そして現在33歳、世間でいう転職定年(35歳)も目前。今の会社で少し高い場所から見渡せるようになった一方で、同時に感じる「このままでいいのか」という漠然とした不安。時々、自分の伸びシロや可能性についても考えたりします。
成功している起業家の多くは10代や20代に大志を持ち行動していることからすれば、30歳過ぎても自分の可能性や天職を探しているようでは遅過ぎるのかもしれません。そんな焦りを皆さんも感じているかどうかはわかりませんが、この漠然とした不安を解消するため、また35歳という人生の一つの節目を迎えるにあたり読んだ本がこちらです。
- 35歳から「一生、負けない」生き方~ランチェスター秘密の人生法則~
/竹田陽一・栢野克己 共著(経済界)
竹野氏と栢野氏は、どちらも30代中盤から起業し成功しており、その実体験をベースに、両者の起業を支えたランチェスター経営学を解説。30歳を過ぎ人生に出遅れた感のある人々の再スタートと巻き返しを応援する、といった内容になっています。
本筋に流れているのは、時間の使い方。竹野氏は、人生は「Y=ax^2+b」(「x^2」は「xの2乗」のことです)の公式で表されると言い、成功の7割は投入時間量で決まるとしています。そして「弱者の戦略」で目標を絞り、パワーを一点に集中投下することが成功へのカギ、と言います。
Yを「人生」とした場合、aは「素質・才能」、bは「財産・地位・学歴」、そしてxが「時間」で表されます。例えばxの「時間」をかけれた分その2乗で成果につながることを意味しています。
また、aの「素質・才能」も能力開発に時間を要することから、潜在能力は時間のストックであり、bの「財産・地位・学歴」も自分の代わりに親が築くのに要した、言い換えれば受け継がれた時間のストックということになります。もしも受け継ぐ財産も人並みの以上の能力も無いなら、最後の頼りは人間に等しく与えられている時間だけ、ということですね。
その平等で限りある資源を「弱者の戦略」で一点に集中投下し、ある分野でナンバーワンを目指すことが35歳からの人生戦略として重要であると説きます。成果は投下する時間の2乗で表されるというのがポイントで、欲張って2つの分野に時間を分散すると、その効果を合算しても1つに集中した時と比べ結果的に劣ることになります。範囲は狭く、ニッチな分野に集中的に時間を費やす(必勝の12時間、圧勝の14時間/日)ことを推奨しています。
こう要点を端折って書くと、すぐ「ブラック企業」とか「サービス残業」などと横槍が入りそうですが、要は自分の人生の問題で、これまでの人生の周回遅れを取り戻すためには、自ら変化を求め能動的に行動し、それくらい集中して取り組まなければ巻き返せないということを、客観的かつ的確に指摘しているでしょう。
救いはあります。能力や財産のようなストックがなくても、人よりも多くの時間を集中投下すれば、加速度的に効果が期待できるということです。言われてみれば至極当然のことですが、楽して成功はないことを再度認識させると共に我々の目を覚まさせ、今行動を起こして人生を変えるか、これまでの生活を送るかという決断を迫っているように思います。
共著者のコラムについてはさておき、竹田氏の話は論理的で読者のやる気に火を点けてくれます。内容は営業職向け、起業経営者向けではありますが、私のような事務職にも奮起するきっかけを与えてくれる内容です。
正直、時間を費やすべき対象は何でもいいのだと思います。本業はもちろん、サイドビジネスでも、資格取得だっていい。何かに集中し、人より抜きん出て自信を持つこと(それはある意味数字とい う形で測れる時間数も自信に)、自分の中で起こる変化を感じることが35歳という分岐点をむかえる人間とって一番必要なことではないかと思います。
ランチェスター経営戦略、企業経営の内容でもありますが、自分自身の今後の人生戦略においてもなかなか考えさせられえる内容でした。
2013年11月14日