本田技研工業(7267)第3四半期配当金と株主通信No.160について【定点観測】
踏んだり蹴ったり・・・だった2月
第3四半期までは至って順調そうな本田技研工業(7267・以下「ホンダ」)ですが、実は2月は大雪とリコール問題で踏んだり蹴ったり・・・な状況でして、特に今年は消費税増税を控えた大事な書き入れ時なだけに影響を懸念しています。
大雪の影響を受けたのはどの企業も一緒ですが、それに加えて2月の8万台を超えるリコールの発表は余計ですね。しかもこのリコール、この半年間に3度目でして、今回は主力のフィットハイブリッドが対象なだけに、業績予想をしっかり達成できるのか、見守っていきたいと思います。
注目はインドネシア市場の開拓
そんなホンダから2月末に第3四半期配当金と株主通信をいただいていましたので早速ご報告したいと思います。
(毎度のことながら年4回の配当金と株主通信の発行、本当にお疲れ様です)
今回の株主通信ではインドネシア市場の開拓を大きく取り上げています。
経済発展著しいインドネシアにおける四輪市場は今や年間100万台にまで成長しており、ホンダにとっても重要な戦略地域と位置付けています。ホンダのインドネシア市場での戦略は3つ。
- 四輪第2工場・二輪第4工場が相次いで稼働開始予定
- 低価格なLCGC(ローコストグリーンカー)政策適合車の投入
- 低価格帯市場とミニバン市場への挑戦、9万台から2016年度に30万台へ
中でもLOGC政策に適合した新型「ホンダ モビリオ」と新型「ブリオ・サティヤ」は今後のアジア市場開拓の戦略車と位置付けているようです。
インドネシア政府が打ち出すLCGC政策に対応した「ホンダ モビリオ」と「ブリオ・サティヤ」は共に85%以上現地調達率を達成しており、「ブリオ・サティヤ」はジャズ(日本名:フィット)の約半額という価格を武器に低価格帯市場向けに、一方の「ホンダ モビリオ」は今後の普及が見込めるミニバン市場向けに、それぞれ投入されました。運転手や家政婦を雇う家庭も多いインドネシア、ミニバンの需要が高い理由については思わず納得。
ホンダの販売台数を見てみると、四輪に関しては4分の1、二輪に関しては9割近くがアジアで販売されており、今後もアジア市場攻略がホンダの成長の原動力に変わりなく、インドネシアはその最前線と位置付けて開拓に注力していくことが伺えます。
一方で懸念もあります。販売台数は昨年実績を上回っておりますが、その伸びはそれほど大きくありません。業績の回復の大きな要因は円高の是正によるところが大きいこと、また営業赤字の汎用パワープロダクツ事業と欧州セグメントについては赤字幅を拡大させており、すべてが順調な回復とは言い難い状況です。
最近のホンダは、少しずつ修正をしながら、取捨選択を進めている気がします。以前、太陽電池事業の撤退について触れましたが、最近ではプリウスとほぼ同時期に登場したHV車「インサイト」の生産中止が発表されました。
私がホンダに投資をした頃にフォーカスされていた事業が次々に消えていくことに一抹の寂しさを感じますが、きちんと効果を検証し取捨選択をしながら、スクラップ・アンド・ビルドの中から慎重に次の進路を選んで歩みを進めている印象を受けます。
“バイ・アンド・ホームワーク”として
ここからは余談ですが、ジム・クレイマー氏は著書の中で、”株式投資において重要なのは「バイ・アンド・ホールド」ではなく「バイ・アンド・ホームワーク」である”と説いていますが、それに倣い私もこの1年ほど、ホームワークの一環で配当金や株主通信を受け取るたびネタにしてツラツラと文章を書くようになりました。
ブログを更新するためにはそれなりに振り返り作業や資料の読み込みが必要になりますから、結果的に定期的なチェックにもつながりますので動機としてはちょうど良く。
法定書類でない株主通信は企業側が株主にアピールしたい内容が中心ですので、その中から読み解ける部分がどれほどあるかはわかりませんが、放っておけば読まずに捨ててしまいがちな資料にも目を通す習慣付けにはなっています。
そんなスタンスで、今後も淡々と定点観測しながら更新していきたいと思います。
それではまた。