ワイシャツに透けないインナーシャツ探し、3タイプを着比べてみた
ドレスシャツに影響しないインナーシャツを求めて
先日完成した山神シャツを身につけた時に感じた違和感。それはドレスシャツの方ではなく、インナーシャツに対するものでした。
保有するドレスシャツのほとんどがサックスブルーだったこともあり、これまでユニクロの白のスーピマコットンTシャツ(3枚組で990円のモノ、現在は2枚に減っていますね)をずっと愛用してきました。
肌に弱い自分には吸水性のいい100%コットンは有り難いし、ボロボロになったら靴磨きにも使えるし、何より安い。サックスブルーということもあってインナーシャツが透けて見えることもなく、何の問題もありませんでした。
しかし、今回オーダーした山神シャツはホワイト、しかもアームホールの小さいビスポークシャツのため、インナーのシルエットがドレスシャツの上から透けて見えてしまったり、脇下でドレスシャツと干渉したりといった問題が浮き彫りになり、これを契機に、今回インナーシャツを見直すことにしました。
山神氏にも相談したところ、「カットオフ(いわゆる切りっぱなし)のインナーシャツが多く出回っているので試してみては」とのアドバイスをいただき、早速当たってみることに。
ドレスシャツの下に着ても目立ちにくいカットオフインナーは、グンゼから百貨店向けに販売されている「seek(シーク)」が有名ですが、今では様々なメーカーからカットオフシャツが販売されています。
まずは定番のシークから・・・と言いたいところですが、インナーシャツに3,000円は出せませんので、1,500円以下の価格で気になるインナーシャツをひと通り試してみようと、まずは気になる3種類のシャツを用意して比較してみることにしました。
(注:以下の写真はそれぞれ別の日に撮影しており、明るさに差があります。また、自撮りはiPhoneSEのため画質が荒めです。なお、ドレスシャツは蝶矢シャツ、アイロンをかける前で皺も入っており、お見苦しい点もございますが何卒ご容赦ください)
1.GUNZE(グンゼ)/YG CUT OFF® インナーVネックTシャツ
シークの販売元のグンゼから、一般販売用に「YG」ブランドとしてシーク同様のカットオフシャツが販売されています。価格はシークの約半額です。
素材は吸水性に優れたコットンが55%含まれているのが特徴で(残りはポリエステル30%、ポリウレタン15%)、素材の割合もシークとほとんど変わりはありません。
コットン混であることから、少し張りがあり、乾いた印象。しかし、実際に着るとゴワツキなどは感じません。化繊が苦手な自分には多少なりともコットンが入っているのは嬉しいポイントです。
さて、肝心の色ですが、公式サイトで「ワイシャツの下に着ても影響の出にくい」という「クリアーベージュ」は、少し黄色味掛かったベージュといった感じで、色は少々濃い印象。
自分の肌の色との対比しても、肌の色よりインナーシャツの方が色は濃く、肌の色が濃い目の男性には合うと思いますが、自分の場合は濃淡が出てしまいました。
そのため、光の加減でホワイトシャツが透ける際、肩袖周りや胸元(Vゾーン)などの肌とインナーシャツの境界面では、肌とシャツの濃淡の差によって、中にインナーシャツを着ていることが何となくわかってしまいました。
2.UNIQLO(ユニクロ)/AIRism SEAMLESS(エアリズムシームレス)
次に取り上げるのは、ユニクロのエアリズムシームレス。言わずと知れたユニクロの大人気商品です。
人気の秘密はなんと言っても速乾性と通気性に優れた生地で、ナイロン84%とポリウレタン16%の混紡素材となっています。
手触りは後述する「ひびきにく衣」と比較すると、幾分ローゲージで多少張りもあり、例えるなら”破れ難いタイプのストッキング”といった印象。
着るとひやりとした生地感とサラリとした手触りで、まさに着ていることを忘れてしまうような軽さと着心地です。
カラーは「ベージュ」を選びましたが、YGよりも明るく、自分の肌の色には近い印象。
肩袖周りや胸元(Vゾーン)など、肌とインナーシャツの境界面についても、ドレスシャツが透けても肌とインナーとの色の濃淡に差は少なく、インナーシャツを着ていることは一見わかり難く、上手く隠れてくれました。
3.アイリン株式会社/ひびきにく衣
インナーシャツで一番気になるのは、ネクタイを締める際の胸回り。Vネックであることは、ノータイが前提であればいいのですが、ネクタイを締める際はそれが欠点になります。
ノータイならばボタンを2つ外して着るため、前出の2枚のどちらを着てもインナーシャツが影響することはないのですが、ネクタイを締める場合はどちらもVネックのため、いくら肌の色に近くても肌とインナーの濃淡の僅かな差がVネックの陰影を浮かび上がらせてしまいます。
そこで、クルーネック(丸襟)のカットオフシャツがないかと探して見つけたのが、こちらの「ひびきにく衣」。
クルーネックなら肌とインナーシャツの境界が首の付け根まで上がるため、仮に肌とインナーシャツに多少の色の違いであったとしてもわかり難いだろう、という考えです。
ポリエステル90%とポリウレタン10%の生地は、手触りは前出の「エアリズムシームレス」と比較すると”ハイゲージのストッキング”といった感じで、トロッとした着心地は「これぞまさに肌着」といった印象。
ハイゲージのため通気性はあまり期待できませんが、滑らかな肌触りはエアリズムシームレス以上。目が細かいので、使用するうちに毛羽立ちなどが気になってくるかもしれません。
色はベージュですが、前出の2枚は男性が着用することを意識してか、黄味掛かった色であったのに比べ、こちらはピンク掛かったベージュで、自分の肌の色とも近く、ホワイトシャツに透けることはありませんでした。
そして肝心のVゾーンですが、首の付け根まで生地が来るため、胸元を見るかぎりインナーシャツを着ていることは色の問題だけでなく、Vネックのように肌とインナーの濃淡も出ないため、Vゾーンでインナーシャツを着ていることはわかりません。
ホワイトシャツ用のインナーなら、肌の色との相性を最優先に
ということで、3種類着比べてみましたが、三者三様でなかなか面白かったです。
本来は、素材の違いなどにも考慮しなければならないのでしょうが、今回ホワイトシャツ用のインナーシャツということに限定して言えば、メーカーや素材に囚われず、自分の肌の色になるべく近いインナーを選ぶのが正解な気がします。
そういった意味で、自分がドレスシャツに影響が出ないインナーシャツを選ぶなら、ネクタイ着用時はアイリン株式会社の「ひびきにく衣」、ノーネクタイの際はユニクロの「エアリズムシームレス」といった感じでしょうか(ひびきにく衣にもVネックはあるようです)。
ただし、コットン素材や生産地(日本製)に少しでもこだわりたい方は、グンゼの「YG」は他と比べて価格的にも遜色なく、クオリティ一段高い印象を受けます。やはり三者三様の良さがありますね。
個人的には、インナーシャツは汗を吸水してくれるコットンが良いのが本音ですが、サックスブルーや柄物のシャツであればこれまで通りコットン100%のインナーシャツを着ればいい話。
今回のようにホワイトシャツに限った話では、化繊100%でも自分の肌の色に近く、影響が出難いことを最優先に選ぶべきだと実感しました。
実際はネクタイを締め、ジャケットも羽織れば、Vゾーンの肌とインナーシャツの境界についても、それほど気にしないでいいのかもしれませんが、山神シャツを着て、ちょっとした優越感に浸りたいと考えると、できる限りインナーは影響しないモノを、というこだわりも湧いてきます。
悶々としていたインナーシャツの問題ですが、おかげで一応の落とし処にも目処がつき、ようやく一段落。新たに手にしたインナーシャツと共に、これから大いにビスポークシャツの良さを存分に堪能したいと思っています!
TAGS: Underwear | 2017年4月28日