塩が浮き出たCheaney(チーニー)をサドルソープで丸洗い
所有する靴の中で最古参のCheaney(チーニー)のストレートチップ。雨の日に履くと決まって表面に塩が浮き出てしまい、何度ステインリムーバーで拭っても繰り返していました。
昨年12月に再度塩が浮き出てしまい、師走の忙しさにかまけてしばらく放置していたらアッパーがガビガビの状態に。年末に慌てて手入れをしましたが、表面はもはやボコボコ・・・。
もはや万事休す、こりゃあ再起不能かな(汗)と頭をよぎりましたが、この状態ではひび割れも怖いので、ここは一旦戦線を離脱。
シューズラックが手狭なので余ったシューズボックスへ移動させようかと思っていたのですが、そのまま棺桶になってしまいそうな予感がして、長年履き続けてきてその仕打ちはあんまりだろうと、ダメ元で丸洗いをしてみることに。
サドルソープできちんと洗うのは、記憶の限りではこれが初めてかな。ちなみに以前カビが生えた時は、オゾン乾燥させるため御徒町のTiP-21・NEXTにお願いをしていました。
無精者なので丸洗いはお風呂ついでに。バケツにお湯を張り、まずは靴をジャボ漬け。靴全体が温まり、革が柔らかくなるのを待ちます。
靴の中のホコリは浮いてきますが、お湯に漬けただけでは水が濁るようなことはありません。
そこでサドルソープの登場。付属のスポンジでよく泡立て、くるくると優しくこすりながら洗浄していきます。洗い始めると段々と泡が黒く濁ってきました。積年の厚塗りされたクリームかな。
浮き出る塩は足がかいた汗が原因ということなので、外側だけでなく、靴の中もしっかり洗浄。
一番苦労したのは、つま先部分に塗ったワックスの除去。若かりし頃に下手なポリッシュを重ねたせいでなかなか落ちずに苦労しました。
洗っていくうちに、厚塗りのクリームの下に隠れていた革本来のきめ細やかさやもっちり感が露わになってきて、「元々はこんな良い革だったんだ」と再発見。洗顔後のようなさっぱり感が気持ち良いです。
表面はペーパータオルで拭き、中は新聞紙を何度か詰め替えて一晩自然乾燥させ、この日の作業は終了。
洗った直後は潤いもあり、モチモチしていましたが、一晩自然乾燥させるとアッパー表面が白くなっていました。サドルソープのおかげで表面は白くても革自体が硬くなったりはしていませんが、ちょっと心配になりますね。
靴の中やアウトソールはまだ生乾きの状態でしたが、アッパーはすでに乾いているので水分と油分を与えていきます。
クリームは普段通り、Collonil(コロニル)のディアマントと J.M.Weston(ジェイエムウエストン)の有色クリームを使います。
ディアマントを塗布すると、塗った直後からぐいぐい吸収していきます。何度か重ねて塗った後、有色クリームを薄く塗布していき、子どもと公園でひと遊びしている間に吸収されるのを待ちます。
あとはひたすら丁寧にブラッシング。この時点で丸洗い前とは見違えるほど良く光ることを実感し、嬉しくなりました。丸洗い自体かなり心配だったので、ブラッシングが楽しいこと、楽しいこと。
ボコボコしていた表面もきれいになり、ひび割れが心配された乾燥も潤いを取り戻しました。そして何より革に透明感が出ました。こんなにきれいになるならもっと早く洗ってあげるべきでした、反省しきりです。
思い起こせば革靴をかじり始めた頃、「最低黒のストレートチップ1足は持っていなければ」とファッション誌で読み、素直に従って購入したこの靴。
ぽってりしたフォルムは正直あまり好みでは無かったし、サイズもオーバーサイズだったのでフィッティングもイマイチで、リサイズしたりと何かと手を掛けましたが、そのうち靴の数も増えて最近では葬式用に近い存在でした。
しかし、こうして本来の姿を取り戻すと、自分が思っていた以上にイイ靴だったことを再確認すると共に、丸洗いの作業を通じて一気に親和度が増しました。
愛着の薄れかけた靴を一度丸洗いですっぴんにして、本来の姿を見つめ直してみることは、今回実践してみて本当にオススメです。再発見で愛着を取り戻せますし、みるみるきれいになっていく工程は感動すら覚えますから。
元々長い付き合いだけに、丸洗いを終えた今、愛着はずっと深いものになりました。シューズラックの長老として鎮座していたチーニーのストレートチップですが、まだまだ現役、いざ前線復帰です!
TAGS: Cheaney | 2020年1月16日