Church’s(チャーチ)グラフトンの大手術・退院

この靴、朽ち果てるまで・・・。

Church’s(チャーチ)のGrafton(グラフトン)が大手術を終えて、ユニオンワークスから帰ってきました。

その堅牢な作りに「The 英国靴」と言うような佇まいのグラフトン。

アッパーはポリッシュドバインダーカーフ、ソールはダブルソールと、まさに「雨靴最強」と目された一足でしたが、アホな持ち主が油断して危うくグラフトンを廃棄寸前まで追い込んでしまったのが6月のこと。

(過去の記事)

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ガッテム!グラフトンをカビさせちまったよ!失敗から学ぶカビ防止策(2015年6月21日)

サッカー観戦後にスコールに遭い、靴下を伝って雨水が靴の中まで浸入。アッパーは水を通さないポリッシュドバインダーカーフ、ソールはダブルソールと、もう水はけは最悪。2日後、案の定インソールには思いっきりカビが生えたんですよね。

仕事帰りとは言え、天候が不安定な中、革靴を履いてサッカー観戦に行くバカがどこにいるか、と今になっては思うのですが、それほど信頼をしていたし、同時に過信もしていました。

インソールだけでなく、コバやウェルトもカビに侵され、ウェルトは縦にヒビ割れを起し、さらには一部ウェルトが切れてつま先部分のソールが剥離するなど、もうゴミ箱に放り込む寸前の状態。

このまま処分することも考えましたが、こんな状態になってもどうしても手放す気にはなれず、ユニオンワークスに駆け込み、全面的に補修してもらったのでした。

(過去の記事)

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Church’s Graftonのオールソールとリウェルト、それからカビ除去について(2015年9月17日)

こうして約2ヶ月の入院を終えて退院したグラフトン、パーツも細かく変更されて戻ってきたので、リペア後の様子をお届けしたいと思います。

 

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(ストームウェルトのリウェルト)

ヒビ割れがひどく、カビも発生していたストームウェルトは、今回、リウェルトを依頼し、きれいに巻き直してもらいました。

チャーチ純正ではなく、確かトリッカーズのものとおっしゃっていたかと思いますが、形状は元のモノと結構違います。

ストームウェルトの役割は、「ウェルトとアッパーの隙間から雨などが侵入しないようにするため」といいますが、ストームウェルトの形状は手入れもし難く、 最近では「逆にカビの温床になりやすいのでは?」と思わないでもなく、ちょっと懐疑的。

とは言え、今回はなるべく印象を変えないように継承することにしました。

 

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(多少スマートな横顔に)

リウェルトする関係上、自然とオールソールすることになるため、この際にダブルソールからシングルソールへ仕様変更。

合わせてレザーからリッジウェイソールへと変更しています。実はこの仕様への変更はトリッカーズに続いてこれで2足目です。

(過去の記事)

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Tricker’s(トリッカーズ)大手術の末に・・・。(結果報告)(2014年11月23日)

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(雨対策と痛対策にリッジウェイソール)

雨道を歩く際はダブルソールも有益ですが、やはり雨にはラバーソールに尽きます。

ひざ痛を起こしやすい自分にとってリッジウェイソールのクッション性は特に相性が良いようです。

ソール厚はダイナイトとほぼ一緒なのですが、接地部分(肉球部分)はダイナイトより厚みがあるので、ダブルソールからの変更でも重厚感を少しでも留め置くには多少なりとも寄与しているかと。

ソール溝が深く、粘りもあるリッジウェイソールのグリップ力は、雨雪にも安心感があり、雨靴用には最善の選択だと思っています。

 

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(より自分に合う形になって帰ってきた)

もちろん、インソールもしっかりクリーニングをしてもらいました。・・・と言っても見えないカビ菌がどのくらい除去されているかは目ではわかりませんが。

しかし、鼻を近づけると、カビ消毒用スプレーの鼻を突くにおいは消え、代わりに新品の靴のような革の良いにおいがして、その効果は結構期待できそうな気がしています。

モノの価値は値段でも他人の評価でもなく、「僕の生き方をどれだけ豊かにできるか」ただこの1点に尽きると思う

せっかくダブルソールの靴を買ったのにわざわざ高い金を払ってシングルソールに変えるなんて、と自分でも思わないでもないですが、最初はダブルソールに憧れたものの、自分には分不相応であったことを、最近になり痛感しています。

靴が重いとひざ腰への負担が大きく、履き心地もかなり硬い。結果的に自分にとってはメリットよりもデメリットの方が多かったわけですが、これらも全て、履いてみなければわからなかったこと。

自分には合わないからと手放すのか、それとも自分に合うよう手直しを加えるか。考えた末に今回後者を選んだおかげで、グラフトンもある意味でようやく自分のモノになった気がします。

履き心地が悪いうちはどうしても親和性も低く、お気に入りとは言えない状態でしたが、着心地や履き心地が改善されることでおのずと愛着も湧いてきます。ただの道具から「相棒」に格上げされた印象さえします。

靴の場合、ソールを交換したからと言って、洋服のリサイズほどに履き心地が大きく変化するわけではありませんが、長く履くものだからこそ、実用性やちょっとした履き心地の差が、この先大きな差になるのだろうと。

面白半分、無節操にカスタマイズしまくるのはナンセンスですが、自分の身体と向き合い、モノの使い道とも向き合い、プライオリティをつけて的確に手を加えることは、使い手にしかできませんから。

 

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(手を加えて初めて自分のモノに)

既製品の場合は特に、購入した状態にあれこれ手を加えることは、作り手のコンセプトを害するとか、リセールバリューを棄損するとか、何だかんだ思うところがあり抵抗感も感じてしまいがち。

しかし、肝心なのはモノ本来の役割を全うできるかという至極単純なこの一点だけであり、その価値を判断するのも使い手である自分自身なのだということを、迷った時には必ずそのことを確認するようにしています。

モノの価値は値段でも他人の評価でもない。そのモノによって自分が生かされていること、そして生きる上での貢献度や快適性の向上こそが、そのモノの価値を決定づけるのだと。

 

・・・冗長に過ぎました。

結局、何が言いたいかというと、この一言に尽きます。

 

「嗚呼、捨てなくてホント良かった!!(涙)」

 

グラフトンがないことの不便さは、この2ヶ月で十二分に痛感させられましたので・・・。あの時、リペア代を惜しんで捨てていたら絶対に後悔していたはずですから。

自分に寄り添い、その用途にも最適化した新生グラフトン。厳しい冬を前に、頼れる相棒の待ちに待った嬉しい帰還です。

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