Bolero(ボレロ)で靴をつくる(3)仮縫い編
初仮縫いでこの過程の重要性を実感
9月に、Bolero(ボレロ)の渡邊さんから「仮縫いの準備ができました」との連絡いただき、10月末に有給休暇を使って3月以来7ヶ月ぶりに工房にお邪魔してきました。
完全プライベートで名古屋に行くので、「せっかくなら子どもも連れて行こう!」と、男2人小旅行のつもりで行きましたが・・・、前半に「リニア・鉄道館」で遊び回った疲れが響いた上に人見知りまで併発し、泣くわ、騒ぐわ、の大騒ぎ(汗)。
渡邊さんには予めご迷惑をおかけすることを想定し、東京土産を持参しましたが・・・あれじゃあ全くもって焼け石に水(涙)。お邪魔虫がいる中、繊細さが求められるフィッティングを見ていただくことになってしまい、渡邊さんには本当に申し訳なかったです。
(仮縫いの靴に足を通す)
「うちの仮縫いは粗いので、詳細に撮られると恥ずかしい」と渡邊さんがおっしゃっていましたが、僕にとってはビスポーク初体験で初めてとなる記念すべき仮縫いの靴。「自分のためだけの靴」と思うと、なお一層のこと嬉しいなぁ。
ハルに邪魔されながらもなだめながら足を通して、履いた感覚について感想を伝えていきます。渡邊さんの方から進んで要所のフィッティング具合を聞いて下さるので、こちらも遠慮なく感想を伝えられて助かりました。
左足の小指の当たり具合や土踏まずのアーチサポートの感覚など、感想を伝え、触診で確認しながら修正点を直接記入していく渡邊さん。ハルが靴を触り、「字が消えてしまうのでは!?」と焦りましたが、消えないペンでホッと一安心。まったく、油断も隙もあったもんじゃない・・・。
靴自体に修正点を書き込んだ後、最後にまた足型を取りました。
(再度足型を採る・鏡越しの写真)
足型を採るのはこれで2回目なので、もしや足のサイズが変わってしまったのかと思い伺ったところ、「足型は何度採っても毎回変わる」そうで、やはり仮縫いで実際に履いてもらい、感覚を確認しないことには本当にフィットした靴にはならないとのこと。
自分の足は、左足の土踏まずが幾分潰れて広がっているため、サイズが左右で異なるのですが、見た目は変えず、履き心地はそれぞれの足にとって最適な形にしなければならず、左右のバランスも考慮して落とし所を考える必要もあり、話を聞いただけでも相当頭を使わなければならず、難しいそう。
3DプリンターやZOZOSUIT(ゾゾスーツ)など、身体に合ったモノにトレースする技術は進化しても、やはり最後は身につけ、実際に使い、またバランスを取ったり、時に落としどころを探るなど、使う人と作り手が相談し、熟考してそれをモノに反映しなければ本当の完成には近づかないのだと実感しました。
(新たに採った足型)
今回は改善点が多く挙がり、日を改めて再度仮縫いをすることになりました。といっても次回お邪魔できるのは恐らく来年5月くらいなので、またしばらく先ですが。
次回は靴の中も開いてより詳しく確認し、それからいよいよ本番を縫い始めるとのこと。ということで完成は来年の今頃かもしれません。
工房に並ぶピカピカの完成靴がなんとも眩しく、早く完成品を手にしたいという羨ましさもありますが、最良の靴が仕上がることを夢見て、焦らずじっくり完成を待ちたいと思います。