さらば、最愛のネクタイ
最近、訳あってネクタイを買い集めていますが(こちらはまたいずれご紹介できれば、と)、これを機に、これまでタイミングを逸していた使い古しのネクタイの処分を決心し、一番のお気に入りだったネクタイも断腸の思いでごみ箱に放り込みました。
これまでずっと処分に迷っていたのは、ステファノビジの小紋のプリントタイ。
自分が持っているネクタイの中ではダントツでお気に入りでしたが、気に入っているがゆえに着用回数も他より多く、結果的に消耗を速めてしまう結果に。”ハリネズミのジレンマ”というやつでしょうか。
購入から8年間、毎週のように使い続けたビジの小紋タイは大剣の先端は擦れて芯地が見えており、夏場にも身に着けたせいで、あごの下の汗がノットに触れて浸透、色褪せを起こしてしまっています。
剣先のほつれだけであれば何とか隠せますが、色褪せの方は結び目の位置を変えたりなど工夫をしたものの、Vゾーンで一番目立つ部分であるが故にどうにも隠しようがなく、諦めざるを得ませんでした。
そんなわけで今回の新たなネクタイの購入は、捨てられないネクタイを処分するちょうどいいタイミングだと言い聞かせて一度はゴミ箱に放り込んだのですが・・・。
翌日、ごみ箱から拾い上げている自分がいました。はじめは、捨てる前に記録に残すため写真を撮ろうと、遺影を撮るのつもりで拾い上げたのですが、そんなことをやっているうちに結局捨てられなくなってしまいました。
このネクタイは、捨てるには思い出が詰まり過ぎています。
それに、ネクタイというモノはその柄の豊富さや顔に近い装飾品であるが故に、身に着ける人の個性やセンスを色濃く反映するように感じ、だから今後もうこんなに気に入ったネクタイが出てこないのでは、と思うと手放せないのです。
置いておいても邪魔になるものでもないですし、困るとすれば目の届くところにあるとついまた身に着けてしまうくらいで、だったら視界が届かないところに移せばいいだけの話。
いつか再利用して別の使い道が見つかるかもしれないし、リペアで復活させられるかもしれない。いずれはやはり捨てるという結論に行きつくかもしれないけれど、それは今ではない。そんな気がして。
基本的に捨て魔ですし、道具としての価値が無くなれば、処分を辞さない性格ですが、今回は空のシューズボックスの中にそっと仕舞いました。
何も「使うだけが道具の価値ではない」そんな風にも思えて。このネクタイを越えるくらいのお気に入りが見つかる日まで、もう少しそばに置いておくことにします。
TAGS: Stefanobigi・Tie | 2021年2月14日