革靴をめぐる冒険~いざ浅草編【前編】The Asakusa Cobblerでリペア
引越しにかまけて靴のメンテナンスをずっと怠っていましたが、もう夏も終わり、酷使した靴ももはや満身創痍の状態。リペア待ちの靴が列を成し、全部修理に出すと金銭的にも結構な額になると思われ、いよいよ「不味いな」と真剣に考えるようになりました。
これからは毎月1、2足ずつでもいいのでコンスタントに修理に出そうと心に決め、そのために今後長期的に通うであろう信頼のおけるリペアショップを技術と価格の両面から探すことに。
2月の引越しを機に、浅草は大変近い土地になりました。路線図だと乗り換えもありなかなか行き難い場所という印象でしたが、調べてみれば半径10km圏内、荒川と隅田川、2本の橋渡れば着いてしまいます。
普段から荒川の土手沿いをランニングする身としては、「なんだ、それなら走った方が近いな」と急にハードルが低く感じられました。
浅草と言えば、昔から革問屋が多く、その影響で製靴店や修理工房も数多くあり、靴好きとしてはワクワクする場所。この機会に浅草を遊び場にしたいな、なんて思いも持ちながら南千住駅に降り立ちました。
目的地は革靴好きの中で大変評判の高い The Asakusa Cobbler(ジ・浅草コブラー)さん。まるすけさんから紹介を受けて、上司には紹介したものの自分が訪問するのは今回が初めて。
定期券の経路内とはいえこれまで降りたことのない駅です。車両基地と駅前の大型ショッピング施設は車窓からいつも見ていますが、 道すがら安宿と町工場ばかりで、石郷岡さんに「何も無かったでしょう?」と言われ、「そうですね」と思わずこぼしてしまったほど。入谷駅からの方がまだ色々とありますね。
さて、予約時間に訪問すると、作業スペースを拡張したため窮屈になってしまったという受付で石郷岡さんが待っていてくれました。番頭台のようなテーブルを挟んでボロボロになった靴を申し訳なさそうに出すと「きれいに履かれていますね」と一言。
今回お願いした靴は、手持ちで最古の靴となるSoffice&Solid(ソフィスアンドソリッド)のパーフォレーションシューズと、Church’s(チャーチ)のDiplomat(ディプロマット)の2足。
ディプロマットは11年、ソフィスはかれこれもう16年以上履いていますが、どちらもいまだ現役。雨の日を主戦場にガンガン履いている靴たちです。 思い出が深い上に最も酷使しているこの2足はどんなにボロボロになっても決して手放すことのない相棒で、修理のし甲斐もあります。
ハーフラバーは溝が無くなるほど削れ、つま先も減ってしまっている状態。トップリフトは相談した上で交換するか決めようと考えていました。 しかし、石郷岡さんに見てもらうと、意外にも「まだ大丈夫」という言葉がポロポロ出てくる。
「このハーフレバーは溝が無くなっても結構厚みがあるのでまだ履けますよ」、「つま先も次回でも大丈夫かもしれない」など、商売っ気を全く感じさせない、純粋に靴の状態を考慮した率直なアドバイスが。
結局ディプロマットはハーフラバー・つま先・トップリフトの3点の交換、一方ソフィスはハーフラバーの貼り替えと小指部分の破れの補修のみ。今回費用は結構掛かるんじゃないかと身構えていましたが、これは有難かったです。
ソフィスの靴を見て「懐かしいですね」と言いながら、この靴のボロネーゼ式グッドイヤー製法について今後の留意点についてアドバイスをもらったり、一見ボロボロに見えるこの靴を「いやぁ大丈夫、まだまだ履けますよ」と言ってくれたり。引退も考えていただけに励まされた気がして嬉しかったです。
帰りはどっちへ帰るか聞かれ、浅草駅の方に出ると話したら、「コーヒーは好きですか?」と土産話にオススメのコーヒー店2店とラーメン屋さんを教えてもらいました。きっとしばらく通うことになるので、足を運んでみようと思います。
(まるすけさんたちとのブロガーズ埼玉会もコロナの影響でずっと延期のままですが、石郷岡さんに浅草の良いお店を紹介してもらい、巡ってみるのも面白そうだなぁなんて思ったり。)
さて、すっかり話し込んでしまいましたが、次にその足で向かったのは今回のもう1つの目的地。どうしても気になる靴があり、拝見しに行って来ました。その話はまた次回に。
TAGS: The Asakusa Cobbler | 2022年9月23日