雨雪で抜けた革靴の水分はデリケートクリームで補う
雨や雪の日に履いた革靴のケア
先月は雨やら雪やら、よく降りましたね。悪路こそ真価を発揮する靴もあり、そんな靴にとっては「いざ鎌倉!」なわけですが、雨に打たれた靴は水分や油分を失っており、放っておけばひび割れやカビの原因にもなりますので、奉公した分それなりの加俸・・・ではなくケアが必要です。
私も、とにかくカビだけは怖いので、脱いだらすぐに乾いたタオルで表面の水滴を拭き取り、コバや靴底の汚れも入念に落として陰干ししていますが、その後は忙しさにかまけてブラッシングのみで済ませていました。3月に入り、ようやく時間に余裕もできたで、きちんと手入れをすることに。
雨に打たれた靴はラバーソールとブーツが中心。悪天候には頻出のTricker’s(トリッカーズ)やChurch’s(チャーチ)の他、雨の日には余り顔を出さないJohn Lobb(ジョンロブ)やAlden(オールデン)の姿も。どちらもブーツですからね、悪路こそ出番だと思って履きました(もちろん戦々恐々と・・・)。
悪路に履いた靴は油分だけでなく水分も抜ける
悪天候でも構わず履く靴は定期的にクリームを入れていますので、ちょっと雨に打たれたくらいでは全然平気なのですが、普段は天候を選んで履く靴にとっては、雨や雪は少々堪えたのかも知れません。
ジョンロブのJodhpur(ジョドファー)を見てみると表面が乾燥で白っぽく映ります。それゆえ、カーフの透明感が失われ、ミスティカーフのムラ感が伝わってきません。油分だけでなく、水分まで失われているようです。
油性クリームでは補えない水分はデリケートクリームで補う
このまま履くとひび割れが怖いので、久しぶりにデリケートクリームを塗布することに。デイリーケアにはそれほど必要のないデリケートクリームですが、時間に余裕がある時に、思い出したように塗布しています。サボテンの水やりと同じで、与えるのは時々でいい気がしています。
デリケートクリームはポリッシュを落とす(溶かす)ので、銀面磨きをしている場合は注意が必要です。また、デリケートクリームの付け過ぎは革を柔らかくし過ぎることもあるので、使い過ぎにも注意。とは言え、このDasco(ダスコ)のデリケートクリームは大昔に買ってまだ使い切っていないので、私の場合は使わな過ぎなのかも知れませんが。
軽く布に取り、塗り込んでいくとグングン革に吸い込まれていきました(まるでお酒を飲み過ぎた翌朝の、水を欲する自分を見るよう・・・)。思った以上に乾燥していたようなので、何度か重ね塗り。
水分補給後は油性クリームで油分を補い閉じ込める
デリケートクリームで水分補給したのち、Saphir Noir(サフィールノアール)CREME 1925(クレム1925)で今度は油分を補給。フェイシャルクリームと一緒で、ある程度水分がないとクリームも浸透しにくいですね。デリケートクリームでケアした後は普段よりなじみが早いです。油分で水分を閉じ込めるイメージで塗布しています。
雨に直接触れたレザーソールもしっかりケア
雨や雪の中を歩き、アッパーより乾燥気味のレザーソールもケア。Tapir(タピール)Leder Sohlen Pelege(レザーソールオイル)で潤した後、有色クリームでコバと靴底の色を補色しながら塗り込んでいきました。
個人的にレザーソールのケアは履き心地にも影響が出るので結構重要だと思っています。コバも削れたままにしておくとみすぼらしいですしね。普段から有色クリームをアッパーに塗るついでにソールにも塗布するだけですので、手入れも簡単ですし、オールソールすると高いですから、日頃からケアしておかない理由はありません。
集中ケアの成果と恩恵
あとはいつも通り、入念なブラッシングとストッキング磨き。こんな感じで2日かけてのんびりと。集中ケアした後の仕上がり具合はこんな感じになりました。
ミスティカーフ本来の透明感とムラ感を取り戻しました。
最近は新しいモノへの購買意欲が湧かない代わりに、メンテナンス熱が上がってきております。一つひとつ眺めては状態を確認、必要に応じてリペアやクリーニングなど、コツコツ手入れをする日々。買い物していない割にちょこちょことお金が出ていくのですが、3月は季節的に手入れのしやすい時期ですし、春に向けての準備も兼ねて、保有するモノと向き合ってみるのもいいな、と思ったりしています。
(2014.03.08 文章一部加筆しました)