【MTO】レザージャケットをビスポークする③(完成編)
昨年(2020年)年頭に掲げた欲しい物リストのトップに挙げていたレザージャケット。昨年10月にオーダーし、12月の仮縫いを経て、いよいよ完成の連絡を受け、引き取りに行って来ました。
(「①オーダー編」、「②仮縫い編」はこちらからご覧ください。)
事前にイチローさんから、「非常に良い出来なのでぶったまげていただけると思います」とLINEが・・・(笑)。
イチローさんが期待とハードルをめっちゃ上げてくる😂 pic.twitter.com/SPOcEV7Fop
— gohkiti@いぶし銀杏な生活 (@ibushiginnan) March 6, 2021
「そんなにハードルを上げちゃって大丈夫?(苦笑)」と思いましたが、全くの杞憂でした。
予め予告を受けていたので自分の中でもずいぶんと期待値がを上げていたはずでしたが、実物を見たら遥かその上を行く出来にびっくりしちゃって、まんまとイチローさんが言う通りの反応になっちゃいました。
自宅に連れて帰り、翌朝改めてガーベントバッグを開けると、そこにはタダモノではない雰囲気を纏った”アイツ”が「遅いよ」とでも言いたげに、ジッとこちらを睨んで待っていました(比喩です)。
緊張しながらガーメントバッグから引っ張り出し、つぶさに眺めてみる。全く隙のない、無駄をそぎ落としたストイックなレザージャケットがそこにはありました。
No,No,Yes!(ノーノーイエス)のバイアスライダースジャケット、完成です!滅・茶・苦・茶、カッコイイじゃないですか!自画自賛で申し訳ないのですが、見るたびに興奮を隠し切れません。
ライダースなのでスポーティーな印象のはずなのに、Guidi Calf(グイディカーフ)の深いブラックが鈍く光り、落ち着いた印象を醸し出していて、大人な雰囲気のジャケットに仕上がっています。
落ち着いた印象に仕上がっている理由は、素材だけでなくそのディテールにもあると思います。
袖付けの部分が一番わかりやすいと思いますが、テーラードジャケットのように多くの部分でなるべく縫い糸は表に出さないような仕上げにしてもらっています。それだけでだいぶ印象が大人しくなりますね。
更にジッパー部分もフロントジップ以外には隠れるようにして、金属のギラギラした感じをなるべく抑えるようにしました。
ジッパーが目立てばライダースジャケットを着ている実感を強く得られますが、逆にコスプレのようなコテコテな印象も強く出てしまうので、レザージャケット初心者にはちょっと気恥ずかしい。
TCB Jeansのデニムジャケットの時にも感じましたが、洋服に着られてしまわないようにするためにも、また親和性を高めるためにも、なるべく普段の服装に合わせやすい仕様がイイ。
ジッパーは各種ありましたが、YKKのEXCELLA(エクセラ)で。エクセラは現在使っているSusieSvelt(スージースヴェルト)のラウンドウォレットでも使われており、滑らかな開閉は実証済み。
ジッパーの色で多少悩みましたが、ゴールドではなく、全体に溶け込むアンティークシルバーをチョイス。ジッパーだけが悪目立ちすることもなく、この選択も正解でした。
裏地はスムースに脱ぎ着ができて伸縮性もある黒のコットン。
裏地だからあまり変わりはないと思っていましたが、オーダーする際に試着させてもらい実際に腕を動かしてみると、裏地の素材が違うだけで動作にもだいぶ影響があることに驚きました。
表から見えない部分にもこだわりを持って決められたのは、やはりイチローさんの私物サンプルのおかげです。
それにしてもグイディカーフの素晴らしさよ。
肉厚で、しっとり濡れたようなモチモチの質感はずっと触れていたいくらい。これが着込むほどに独特のシワが刻まれ、体に馴染んでいくと思うと愛おしくてたまりません。
「グイディは新品だと結構立つんですよ、個体差はありますが」とイチローさん。残念ながら店頭で試した時は立ちませんでしたが、改めて自宅でやってみたら、何とか立たせることに成功しました(結構苦労しましたが)。
仮縫いで修正を加え、更に絞り込んだウエスト部分を見ると、ビスポークジャケットであることを改めて実感します。
仮縫い有りのロイヤルビスポークにしたおかげでギリギリまで無駄をそぎ落とすことができ、身体のラインにピッタリ沿ったジャケットに仕上がりました!
アームホールの大きさから身幅、着丈に至るまで、全てがジャストサイズ。グイディはずっしりと重たいはずなのに、身体と一体になり重さも苦に感じません。
自分は小柄なため、市販のサイズでは合わないためにオーダーしましたが、標準サイズを着られる人でもビスポークと既製品では見た目に明らかな違いが出るので、検討されている方にはぜひビスポークをお勧めします。
「洋服好きとして一生のうちに一着は欲しい」とオーダーした今回のライダースジャケット。
レザージャケットについては全くのド素人、右も左もわからずの状態でしたが、イチローさんの献身的なアドバイスのおかげで、最高の一着に仕上がりました。
2020年の欲しい物リストに入れたレザージャケットですが、実は2015年年初からずっと掲げていた目標でして、6年越しでようやく結実するに至りました。
このジャケットも一期一会が生んだ産物だなぁと感じます。
もし、去年の欲しい物リストに加えていなかったらオーダーできるお店を探そうともしなかったでしょうし、ノーノーイエスが松屋銀座店に入らなかったら仕事帰りにふらりと立ち寄ることもなかったでしょう(東京店は敷居が高いので)。
(しかもノーノーイエスレザーテーラーが松屋銀座店に常設していたのは半年間。3月からは「ドレスアップラウンジ」に移設されコーナーショップ展開になってしまっています。)
そしてイチローさんにたくさんのサンプルを見せてもらいながら話を伺い、実際にサンプルに袖を通すことがなかったら、恐らくオーダーするまでには至っていなかったでしょう。
Boleroの靴と数日違いでの納品となり、怒涛の納品ラッシュだった1週間。まさに盆と正月がいっぺんにやってきたような騒ぎでしたが、手にした余韻に浸るのもほどほどに、これからは実際に着て楽しみます。
こんなにカッコイイのに眺めているだけなんてもったいない。積極的に着て、ポテンシャルをどんどんと引き出し、「こんなに使えるなら安い買い物だった」なんて思えれば、また次につながるはずですから。
「これからの季節はレザージャケットを着るには最高の時期。毎日でも着て欲しいです」とイチローさん。
はい!家の中でも着ながら馴らしていこうと思います。そしていつかエイジングの進んだこのジャケットを見せにお伺いますね。素晴らしい一着をありがとうございました!