gohkiti AWARD 2021

ファッション

2021年は大きな変化が求められる一年となりました。仕事では兼務が増え、新たなテーマがいくつも並行して立ち上がり、業務範囲が一挙に拡大。プライベートでは、元気過ぎる子どもたちを相手に毎日が嵐のように過ぎ、趣味の時間を楽しむ余裕はすっかり無くなりました。

ブログの更新もままならない状況が今も続いていますが、年末恒例のベストバイのシーズンが到来。買い物する機会も激減する中で、今年は開催自体危ぶまれましたが、何とか5つひねり出すことができ、今年も無事「gohkiti AWARD 2021」を開催する運びとなりました。辛うじてモノブログとしての存在意義をキープでき、ホッとしています。

「gohkiti AWARD」とは、その年に購入したモノの中から、生活やマインドに多大な影響を与えてくれたアイテムを自由気ままに表彰する、いわば一年の総括となる企画です。

今年も実用性や心理的な影響など、買って良かったと心から思うアイテムに巡り会うことができたのは幸運でした。ということで、早速ベスト5のご紹介したいと思います。

第5位 Patagonia(パタゴニア)/Classic Retro-X Vest

今年購入したモノの中で最も新しいアイテムながら、見事ランクインを果たしたのは、Patagonia(パタゴニア)のRetro-X Vest(レトロXベスト)。重宝し過ぎて、毎日ヘビーローテーション中です。 ロングセラーたる所以をまざまざと思い知らされた1着が堂々の第5位にランクインしました。

季節の変わり目だからでしょうか、急に断捨離熱が上がり始め、もう身につけることのない衣類や靴など十数点をリユースショップに送りつつ、新たな秋冬物も少しずつ物色し始めています。先日店頭で見かけたパタゴニアのレトロXベスト。暖かそうだなぁと思い試着したら、想像以上に防寒性が高くむしろ暑いくらい。寒さにはめっぽう弱い自分にはとても魅力的でロックオンしていたのですが、その日は即決せず一旦保留に。昨年までにレザージャケットやらビスポークシューズやら大物を買い尽くし、もうこれ以上の買い物は当面控えるべきでは...

何と言ってもその優れた防寒性。フリースがとにかく暖かく、むしろ暑いくらい。愛用者が多いのも納得です。

加えて、大きく取られた肩回りや、スッキリしたシェイプなど、どんなインナーやアウターにも合わせられる使い勝手の良さも手伝い、防寒インナーとしての役割を最大限に発揮してくれます。

冬場は装いも沈んだカラーが多いので、1シーズン前のモノながら鮮やかなパープルを割安で購入しましたが、この選択も正解でした。

A.P.C.(アーペーセー)のPetit Standard同様、子供たちと一緒に過ごす時の育児ユニフォームとしての地位を早くも確立しており、もはや欠かすことのできないアイテムとなりました。極度の寒がりの自分にとって、外出の時はもちろん、家でもこれを着て四六時中ヌクヌクしており、もう手放せません。

第4位  smoothday(スムースデイ)/ヤクニット ハイネックプルオーバーセーター

「暖かさは重量に比例する」という固定概念を大きく覆してくれた smoothday(スムースデイ)のヤクニット ハイネックセーター。スムースデイがブランドを畳んでからというもの、これまでずっと探していて、ようやく手に入れることができた1着が第4位にランクインです。

小野莫大小工業のファクトリーブランド、smoothday(スムースデイ)。洋服好きの中ではその素材の素晴らしさにファンが多く、自分もバスクシャツやカットソーなどを持っていましたが、ずっと欲しかったのがヤクニット。しかし、とうとう手に入ることなく昨年ブランド終了が伝えられ、それからはずっと状態の良いモノをフリマサイト等で探していました。ヤクニットへの憧れから無印良品のヤクウールセーターなども試してみましたが、ヤク10%しか入っていないヤク混ウールではやはり別物。代替品にはなり得ず。そんなこんなで探すうちに...

無印良品でも毎年ヤク混ニットの展開がありますが、ヤク100%のこのセーターとは全くの別物。極柔の肌触りと驚きの軽さ、そしてしっかり暖かいのに決して暑くなり過ぎることはないヤクニットの絶妙な温度調整の妙に衝撃を受けた時のことを今でも鮮明に覚えています。

アレンジできるたっぷりとした首まわりやざっくりとした中性的なデザインも、ヤクニットの持つ質感と相俟って大変雰囲気が良く、すっかり魅了されてしまいました。

時代が変わっても廃れることのないデザイン性と暖かさは今や手放し難く、また、今後再び手に入ることは非常に難しいことを考えると、ブランドを畳む前にしっかり購入しておかなかったことが悔やまれますが、これから丁寧に着続けていきたい大切な1着となりました。

第3位 FUJITO(フジト)/THEA Denim Jeans

2019年のAWARDで第2位にランクインしたFUJITO(フジト)のAcer。そのAcerに惚れ込んだ直後から「いつかはAcerと双璧を成すTheaも手に入れたい」と熱望していましたが、Acer購入から2年、とうとうその時がやってきました。

ちょうど2年前。FUJITO(フジト)の「Acer」に魅了されて以来ずっと気になり、いつか履いてみたいと思っていたもう1本のジーンズがあります。それがAcerと双璧を成す「Thea」の存在。Acerが501をベースにした定番のストレートジーンズに対し、Theaは505タイプのスリムモデルとのこと。気にはなっていても実物に触れる機会に恵まれませんでしたが、2年越しの願いが叶い、ようやくTheaも手に入れることができました。14.5ozのセルヴィッチデニムはAcerと同様。作りも大変丁寧でハンサムなジーンズです。太ももからほんのりとテーパー...

Acerに負けず劣らず、Theaも自分の期待のずっと上をいく素晴らしいジーンズで、所有する喜びを大いに感じさせてくれるこの1本。見事第3位にランクインしました。

501タイプのAcerに比べ、505タイプのTheaは、緩やかなテーパード、ジップフライなどの違いがあり、他の衣類とのバランスが取りやすく、スマートな印象を受けます。2本を並べてもシルエットの違いは一見分かり難いですが、足を通すとその差は歴然で、Acerに比べてずっと履きやすい。

武骨な印象のAcerとスマートなThea、フジトのジーンズにすっかり魅了された自分にとって、その日の気分で履き分けができる贅沢な環境が整いました。どちらも古き良きモデルに敬意を払いつつ、キラリと光るフジトらしさが所有欲を大いに満たしてくれます。

自分にとっての装いの中心はこれからも常にジーンズですし、伝統的なモデルがベースのこの2本は、これから齢を重ねてもきっと上手く順応し続けてくれるでしょう。願わくばこのジーンズたちがいつまでも似合い続ける齢のとり方をしたいものです。

第2位 Bolero & SusieSvelt/3 Eyelet U-Tip Shoes & Belt

2人目の子どもが生まれた記念に製作を決めたビスポークシューズは、「靴はこれで打ち止めにする」という決意を持って臨みました。ストイックな1足目に対し、自分がこれまで抱えていた靴欲を全て吐き出したのがこの3アイレットUチップ。

昨年(2020年)の欲しい物リストにアップし、目標の1つに掲げていたレザーシューズ。その後、実際にオーダーするに至り、あとは完成を待つばかりでしたが、3月、とうとう待望の荷物が届き、ついに1年越しの思いが実現となりました。今回は、仮縫いはなく約9カ月で完成。当初は昨年末の完成との話もありましたが、イギリスから取り寄せた革の入荷が遅れた影響で製作開始も大きくずれこみました。ただ、待つ時間は自分にとって全く苦ではなく、もう半年は掛かると思っていたくらいで。元々オーダーの動機は次男の誕生がきっかけこと...

ピングレインカーフにスキンステッチ、イニシャルの刻印とやりたかったことを凝縮しつつ、オンでもオフでもどこへだって履いていけるようなイイトコ取りの靴を実現すべくBolero(ボレロ)の渡邊さんに依頼したこの靴は、中庸を極めた驚くほど端正な1足に仕上がりました。

どの角度から見ても琴線を刺激する要素が随所に散りばめられたこの靴は、見た目だけでなく、履き心地も前回から更に修正を加えられ、非の打ちどころのないフィッティングとなっており、足を通すたびに毎回喜びが込み上げてきます。

更にベルトは同じピングレインレザーを使い、SusieSveltの鈴木さんに製作いただきました。こちらも多様なシーンに対応できるよう35mm幅でスラックス用とジーンズ用の2穴を使い分ける仕様となっています。

バックルだけは自分で探してきたモノを使ってもらい、ごく一部ではありますが製作に参加できた気がしています。

子どもたちのイニシャルが刻まれたこの靴。これから子供たちもどんどん生意気になっていくでしょうが、授かった時の喜びを落とし込んだこの靴とベルトを身に着けるたびに初心を思い出させてくれるはず。愛する家族同様に、ずっと大切にしていきたい靴とベルトが第2位にランクインです。

(Boleroのブログにも掲載されています。ぜひ合わせてご覧ください。)

第1位 No,No,Yes! Leather Tailor/ROYAL BESPOKE BIAS RIDERS

昨年オーダーし、3月に完成した自身初のレザージャケットは、数奇な縁により仕立てられたまさに一生モノの1着。No,No,Yes!(ノーノーイエス)でビスポークしたバイアスライダースは、素材にGuidi(グイディカーフ)を使い、細部にまでこだわった自慢の一品です。

昨年(2020年)年頭に掲げた欲しい物リストのトップに挙げていたレザージャケット。昨年10月にオーダーし、12月の仮縫いを経て、いよいよ完成の連絡を受け、引き取りに行って来ました。(「①オーダー編」、「②仮縫い編」はこちらからご覧ください。)事前にイチローさんから、「非常に良い出来なのでぶったまげていただけると思います」とLINEが・・・(笑)。イチローさんが期待とハードルをめっちゃ上げてくる😂 pic.twitter.com/SPOcEV7Fop— gohkiti@いぶし銀杏な生活 (@ibushiginnan) March 6, 2021 「そんなにハードルを上げ...

徹底して無駄をそぎ落とし、自分の今の体にピタリと添うように作られたジャケットは、春や秋には単体で、真冬にはオーバーコートの中にも着ることができ、1年の内ごく短期間しか着られないとされるレザージャケットも、比較的長く着ることができます。

縫い目を隠し、パーツも敢えて目立たないモノを使うなど、無駄な装飾性を徹底的に消すことで、結果的に素材とシルエットを引き立たせる大満足な仕上がりとなりました。レザージャケットにはもうこれ以上に望むものはなく、これが最初にして最後の1着になるでしょう。

いくらお気に入りでも、身につけなければ親和性も実用性も高まりませんから、とにかくどんどん身に着けて身体に馴染ませていきたい。モチモチとしたグイディにシワが刻まれるたびに思わずニンマリしてしまいます。

体形が崩れた瞬間、即着れなくなるというギリギリの緊張感がまた、日々の生活における姿勢を正してくれます。自分らしさを詰め込み、体現してくれているこのジャケットが見事2021年の年間大賞に輝きました。

このレザージャケットが自分のアイコンとなるよう、これからも末永く着続けていきます。

(No,No,Yes! Leather Tailor お仕立て事例にも掲載されています。ぜひ合わせてご覧ください。)

2021年の総括として

というわけで、2021年も何とか5品をピックアップすることができました。昨年種を蒔いたモノの収穫が2点、新古品が2点と、両極端な買い物ではありますが、正直これ以外では買い物らしい買い物をしておらず、お金の使い方も洋服の選び方も忘れつつあります(苦笑)。

1位と2位の差は本当に僅差で、2度目のビスポークシューズと初めてのレザージャケットという経験の差による新鮮味の違いで、僅かながら初体験の衝撃が勝ったに過ぎず、甲乙つけがたかったのが本音です。

さて、3月に下記のような記事を書きましたが、仕事や家族など、自分を取り巻く環境の変化によって、やはり自分自身も変わりつつあることを、年末を迎えた今、改めて強く実感しています。

ブログが不定期更新になってからしばらく経ちました。更新頻度自体もすっかり停滞気味ですが、ブログの内容も目新しさが失われていることを自覚しています。書く言う本人のモチベーションも低空飛行を続けています。更新再開に当たり、予め触れておかないと、と思っていることをつらつらと、リハビリも兼ねて書き記したいと思います。誰よりもまず自分のために綴ってきたこのブログ、その中心は靴や服飾品といったモノでしたが、今やモノへの欲求自体は大方満たされ、ファッションについてはそろそろ打ち止めだと感じています。昨年発...

今となっては若いうちにしっかり散財しておいてよかったな、と心から思っています。昨年までは、本業がこんなにも忙しく、また置かれた環境も激変しているとは思いもしませんでしたから。しかし、おかげで今は自分の趣味に執着せず、仕事に育児に精いっぱい向き合うことができているのですから、過去の愚行も無駄ではなかったな、と(苦笑)。

昨年蒔いた種はすっかり刈り取ってしまい、来年こそは本当に何も予定がなく、2022年こそはいよいよAWARDの開催中止も不可避か?と思わないでもないですが、その時はその時でまた別のネタを考えようと思ています。

とにかく今年は上記の理由から、特に後半からすっかりブログの更新が滞ってしまい、定期的にチェックしてくださる読者の方には大変申し訳ありませんでした。

仕事でも文章を書くことが多く、いささか書くことに食傷気味だったこともありますが、やはりブログは無理矢理更新しても読む人の共感は得られませんし、きっと面白くないはず。それに更新が目的となっては書くことに苦痛を感じてどんどんブログから遠退くばかりですから、気が向いた時に楽しく書こうと途中から方針転換しました。

今後も更新は不定期で続けてまいりますが、縁あって手に入れたモノをこれからも身に着け、しっかり使ってモノの持つ良さを再発見し、感じたことをブログを通じて共有できればと思っています。どうか懲りずにお付き合いいただければ幸いです。

さて、この記事でモノに関する投稿は恐らく年内最後です。今年も一年間お付き合いいただき本当にありがとうございました!皆様、どうか良い年をお迎えください。

【関連する記事のご紹介】

« »

ランキングに参加中。ポチッと応援、お願いします!
deco.blog.with2.net ブログランキング・にほんブログ村へ

【コメントの投稿の仕方について】

  当サイトでは「Disqus」と呼ばれるコメント機能を使っております。
  ツイッターやフェイスブックなどでアカウントをお持ちの方は、ログインすることで
  自分の各プロフィールのままコメントすることができます。
  各種アカウントのない方もEmailアドレスさえ入力すればコメントが可能です。
  (入力したEmailアドレスはコメント投稿には表示されませんのでご安心ください。)
  また、コメント欄には画像を張ることも可能です。
  何度も「Reload」が表示される場合は、キャッシュを削除すると表示されることがあります。
  コメントが反映されるまで多少お時間が掛かることがございます。ご了承ください。