Bolero(ボレロ)で靴をつくる(2)採寸編

次のステージへ登るための靴を誂える

前回お伝えした通り、名古屋出張にかこつけて、名古屋のビスポーク・シューズメーカー、Borelo(ボレロ)の渡邊さんの工房をお邪魔し、初めてビスポーク靴をオーダーすることになりました。

ビスポークを初体験する元々靴が好きだった自分は、20代の頃は懐も、また身の丈に合っているかも顧みることなく、「もっといい靴を」と様々なメーカーの靴を物色し、履いては自己顕示欲を満たし、また磨いては所有欲を満たし、日々のローテーションを楽しんでいました。老舗から新進気鋭のブランドに至るまで、広く目移りしていた頃の自分には、ビスポークシューズ(注文靴)には関心はあれど、必要性までは感じていませんでした。恐らくその頃の自分にとって、靴とは外に向けた主張であり、発露の手段であったから。翻って、30代にな...

(以下に掲載する写真は、多忙にもかかわらず駆けつけて下さったオボイストさんに撮影していただき、渡邊さんにはブログでの画像使用を快諾いただきました。ありがとうございます!)

 

ボレロの工房にたどり着くのと時を同じくして、駆けつけてくれたオボイストさんと初対面。オボイストさんとはブログで知り合ってからもう5年以上になります。

ブログを通じて知り合った方にお会いするのはこれが初めての経験で、恥ずかしいやら、不安やら(ガッカリされたらどうしようとか、ブログでは多弁なくせに実際は人見知りなので・・・。)複雑な思いが交差しましたが、「ええいままよ!」と。

実際のオボイストさんはブログを通じて自分が想い描いていたままの、笑顔の優しい物腰柔らかな男性で、初対面といった感じが全くせず、昔から知っていたかのよう。勝手にこれまで以上の親近感を覚えてしまいました。

 

(サンプルシューズを元に話を伺う)

オボイストさんに案内されて工房にお邪魔をすると、奥から渡邊さんが出迎えてくださり、そして目の前にはホームページやブログで拝見していた美しいサンプルシューズがズラリ。実物を目の当たりにし、静かな興奮を覚えました。

実際にサンプルシューズを手にとって拝見し、ボレロで靴を作りたいという気持ちが確信に変わったことを実感、すぐに1足お願いすることを決めました。

 

(希望に近いサンプル靴。トゥはプレーンが希望)

まずは、お話を伺いながらデザインから決めることに。

実は作りたい靴のイメージはもう固まっていて、黒のプレーントゥをお願いしようと決めていました。お客様のサンプルとのことなので転載は控えますが、ボレロさんのブログに掲載されている直線的な切り返しのあるデザイン(下記のリンク参照)。

いつまでも若いつもりでいながら、すでにアラフォーの自分ですが、これから数年後に40代を迎えるに当たり、次のステージに上がるための1足を誂えたいという動機が今回のオーダーの根底にあります。

今後、年齡を問わず常に履き続けられる飽きのこない色とデザインを考えた時、黒のプレーントゥは、シーンを選ばず、また経時変化もわかりやすいので、ずっと履き続ける楽しみを味わえるのではないかと。

 

(別素材の使い分けも検討)

シューレースの部分の素材は同色の別素材も検討していますが、アップチャージと全体に与える印象の変化などについてもっと精査する必要があるので、仮縫いまで判断は保留することに。

一方アッパーの素材は、渡邊さんにオススメされるまま、ワインハイマー社製ボックスカーフでお願いをすることにしました。

 

(慎重に採寸し、数字を記していく)

デザインが大方決まったらいよいよ採寸です。

専用の道具で足の外周を記し、その後は土踏まずの内側や各部分の距離を細かく計測、手際良く紙に記録していきます。自分の足は、左足の方が甲は低く、幅広で少し長いそうで、左足の方が土踏まずが低く少し潰れているようです。

「靴を履いていて気になるところは?」と聞かれ、これまでずっと”靴は我慢してキツイ靴を履くもの”と考えていましたが、(齢のせいか)最近は無理して履くことが苦痛になってきたことに触れ、左足の小指が良く当たって浮腫むと痛むことを伝えました。

 

(サンプルシューズを履いて触診)

今度はサンプルシューズに足を通し、履いた感覚をチェック。サイズ感は良かったのですが、甲がプカプカしており、触診で履いた状態を確認。最後に足を四方から写真に撮り、無事に採寸が終了。

ちなみにヒールは革1枚分高めに、トゥにはヴィンテージスチールを取り付けてもらうことにしました。

 

(スクエアトゥとラウンドトゥで悩む)

悩んだのはトゥの形状。普段はエッグトゥのような丸みの大きいラウンドトゥを好んで履いているのですが(この日の出張靴、Church’sのDiplomatはまさにそれ)、ボレロの靴で自分が魅了されたのはスクエアなチゼルトゥ。

スクエアの具合やチゼルの傾斜角度などでも何種類かサンプルがあり、「できればトゥの形状は、ラストを削るのに今日決めてもらえると有難い」とのことでしばし悩みましたが、ふと採寸をする渡邊さんの足元を見ると理想的なトゥが。

「その靴と同じ形でお願いします」と無事にトゥの形状も決まり、この日の行程が全て終了しました。

 

(トゥは左の茶靴と同じ形状に。なだらかに落ち込むラインが美しい)

仮縫いまでは5、6ヶ月程掛かるそうですが、準備ができてもすぐに名古屋に飛んで行くこともできませんし、待つ分には一向に苦ではありませんので、気長に待ちたいと思います。

ビスポークを体験する機会なんて、そうあるものでもありませんし、これが最初で最後になるかもしれません。待つ時間が長いほど楽しみも増しますし、次の仮縫いまで毎日ワクワクしながら過ごせるのもオーダーの楽しみであり、醍醐味ですね。

 

あっという間の1時間で、その後はオボイストさんに名古屋駅まで送っていただき、新幹線に飛び乗りました。次回は半年後か1年後か、次に訪れる際はオボイストさんと食事もしながらゆっくり話もしたく、色々な楽しみを名古屋に残して帰路に着いたのでした。

・・・つづく。

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